ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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懐柔編

雪崩

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初めての顔面騎乗に、薫は気が引けるというか、恥ずかしがったが、興奮し、満足そうな多喜の表情を見て、嬉しさの方が上回った。

タマ抜きニューハーフの薫は、基本的に性欲はほぼ無いが、多喜が喜んでくれると、自分も感じる。

薫にとっては、挿入したり体を絡め合う事より、舌を絡め合うキスや、ハグの方が幸せを感じるのだ。

ラブホテルなどの天井や壁が鏡張りのところでセックスすると、自分の膨らんだ胸を多喜が後ろから揉み、首に舌を這わす姿が目の当たりに出来る。
そういう姿を見ると、自分が女になったという実感が持てて、さすがの蒼も興奮する事はあるが…


フィニッシュし、少し休憩する二人だったが、多喜は薫の髪を撫でながら、呟くように言った。


「薫ちゃん
最高だった。

顔面騎乗

また、頼むよ」


「えーっ、ヤダよ

恥ずかしいもん」


「それがいいんだよ。恥ずかしがりながら乗る、その感じが。」


「しんちゃんて、エッチだね。
ホント」


薫はそう言うと、多喜の頬に両手を添え、キスをした。

お互いに大いに感じるキスを。


「しんちゃん…
ワタシ、すごーく幸せよ」


「うん。俺もさ

でも、もっともっと幸せになろうよ。」


「これ以上の幸せは、想像できないよ」


「実は俺も想像出来ない。

まあ、そうだなあ
お互いにじいちゃん、ばあちゃんになるまでずーっと仲良く暮らせたら、俺は何もいらねーよ。」


「ワタシも。
しんちゃん、愛してるわ。」


薫はまたキスをした。





その三時間前…


亮輔は、遠慮する薫を説き伏せて、無理矢理タクシーで帰らせた。

楽観的な事を言っていても、やはり夜のミナミの街は何があるかわからない。
亮輔もそれは痛いほどわかっていた。

その証拠に、店の前に若い衆を呼び、車で家に帰る事にしていた。


「姐さん、お待たせしました。」


大西組の若手組員である岸本拓実が、車を降りてきて頭を下げた。


「拓実、ごめんね
こんな事で呼び出しちゃって。」


「いえ、この辺は何があるかわかりませんから」

拓実は、少し緊張気味で、周囲を見渡しながら言った。


「そうね。

大友の連中に鉢合わせしないうちに早く帰りましょう。」

亮輔は後部座席を開けて待つ拓実に言ったが…車に乗りこむことなく固まってしまった。


「何や、冷たい事言うてからに」

拓実の背後に立ち、肩を組んでくる男が目に入ったからだ。

拓実も身構えたが、時すでに遅し

亮輔の両脇にも男二人が立ち、逃げ場を失わせていた。


「久しぶりね、亮輔

今は沙織ちゃんだったかしら?」


そう言いながら近づいてきたのは、多村だった。

亮輔は多村に視線を向けた。

どこからどう見ても、小柄なフツーのおばさんにしか見えない。
だが、その眼光は、昔さながらに鋭く、その目だけで、カタギの人間ではないと、十分に認識できた。
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