465 / 963
後遺症
しおりを挟む
桐山と達也が逮捕され、美智香にとって最悪の二日間は終わりを告げた。
身代金の一部として振替えた一千万も戻ってくる事になった。
桐山も達也もかなり重い実刑となる公算が高く、怯えて暮らす事もないだろう。
拉致して金を取ろうとしただけで、そこまで重い罪になるのか?
前科者の桐山はともかく、初犯の達也は重罪に問われるのかという不安もあった。
しかし、二人には身代金目的の拉致監禁と共に、殺人未遂の罪に問われる可能性が出てきていたからだ。
智と真弥は命に別状がない状態で保護され、病院に運ばれたが、二人共異常な量のドラッグを無理矢理摂取させられており、診断した医師は、よくこれで死ななかったものだと驚きをもって発言した。
今後の捜査、検察がどう判断するかにもかかっているが、殺人未遂罪が適用され、裁判にかけられる事が濃厚となっていた。
達也や桐山が重い量刑を食らって、少しでも長く刑務所暮らしをしてくれるに越した事はなかったが、美智香もユウも、今はそんな事はどうでもよかった。
智と真弥が相当なダメージを受けて入院しており、以前のような姿で戻る事ができなければ、何も解決した事にはならないという状況にあったからだ。
その日も、美智香とユウは病院を訪れ、二人を見舞ったが、智も真弥も意識はあるものの、反応が鈍く、問いかけにも答えたり答えなかったりだった。
病室を出た美智香とユウは、担当医師の説明を受ける為に別室に入っていった。
「先生、二人の状態はどのような…
回復するんでしょうか…」
不安げに質問する美智香に、担当医師の宝田は難しい顔をして説明を始めた。
「先ずはこれを見て下さい。
こちらは正常な人の脳です。
そして、こちらは薬物中毒患者の脳です。」
美智香とユウは身を乗り出してその2枚の写真を見入っった。
「SPECTという脳の血流を調べる検査をしたものです。
左の正常な人は白い部分が多いですよね?
これは十分に脳に血液が行き渡っているという事です。
右の薬物中毒患者のものは、それに比べて白の部分が極端に少なく、青い部分が多いです。
つまり、この青の部分には血液が行き渡っていないということになります。」
「どういう事でしょうか…」
ユウが質問すると、宝田は頷いた。
「青くなっている部分は既に血液を必要としていないという事です。
簡単に言えば、もう神経細胞が死んでいるから…」
「えっ…」
「その部分の神経細胞が死滅しているため、血液が酸素や栄養分を運ぶ必要が無くなっているのです。
本題に入ります。
佐々木真弥さんと吉岡智さんの脳がこちらです。」
宝田は写真を入れ替えた。
「…」
美智香もユウも絶句した。
二人の脳はさっき見た薬物中毒患者ほどではなかったが、あきらかに青い部分が多い状態だったからだ。
「最近出回り始めたセックスドラッグだと犯人は供述しているようですが、こんな短期間でここまで脳が破壊されるのを、私も見た事がありません。
せめてもの救いは、長期に渡って薬物を投与されなかった事です。
もし、救出が遅れていたら、取り返しのつかない事になったでしょう。」
宝田は深刻な表情でそう言った。
身代金の一部として振替えた一千万も戻ってくる事になった。
桐山も達也もかなり重い実刑となる公算が高く、怯えて暮らす事もないだろう。
拉致して金を取ろうとしただけで、そこまで重い罪になるのか?
前科者の桐山はともかく、初犯の達也は重罪に問われるのかという不安もあった。
しかし、二人には身代金目的の拉致監禁と共に、殺人未遂の罪に問われる可能性が出てきていたからだ。
智と真弥は命に別状がない状態で保護され、病院に運ばれたが、二人共異常な量のドラッグを無理矢理摂取させられており、診断した医師は、よくこれで死ななかったものだと驚きをもって発言した。
今後の捜査、検察がどう判断するかにもかかっているが、殺人未遂罪が適用され、裁判にかけられる事が濃厚となっていた。
達也や桐山が重い量刑を食らって、少しでも長く刑務所暮らしをしてくれるに越した事はなかったが、美智香もユウも、今はそんな事はどうでもよかった。
智と真弥が相当なダメージを受けて入院しており、以前のような姿で戻る事ができなければ、何も解決した事にはならないという状況にあったからだ。
その日も、美智香とユウは病院を訪れ、二人を見舞ったが、智も真弥も意識はあるものの、反応が鈍く、問いかけにも答えたり答えなかったりだった。
病室を出た美智香とユウは、担当医師の説明を受ける為に別室に入っていった。
「先生、二人の状態はどのような…
回復するんでしょうか…」
不安げに質問する美智香に、担当医師の宝田は難しい顔をして説明を始めた。
「先ずはこれを見て下さい。
こちらは正常な人の脳です。
そして、こちらは薬物中毒患者の脳です。」
美智香とユウは身を乗り出してその2枚の写真を見入っった。
「SPECTという脳の血流を調べる検査をしたものです。
左の正常な人は白い部分が多いですよね?
これは十分に脳に血液が行き渡っているという事です。
右の薬物中毒患者のものは、それに比べて白の部分が極端に少なく、青い部分が多いです。
つまり、この青の部分には血液が行き渡っていないということになります。」
「どういう事でしょうか…」
ユウが質問すると、宝田は頷いた。
「青くなっている部分は既に血液を必要としていないという事です。
簡単に言えば、もう神経細胞が死んでいるから…」
「えっ…」
「その部分の神経細胞が死滅しているため、血液が酸素や栄養分を運ぶ必要が無くなっているのです。
本題に入ります。
佐々木真弥さんと吉岡智さんの脳がこちらです。」
宝田は写真を入れ替えた。
「…」
美智香もユウも絶句した。
二人の脳はさっき見た薬物中毒患者ほどではなかったが、あきらかに青い部分が多い状態だったからだ。
「最近出回り始めたセックスドラッグだと犯人は供述しているようですが、こんな短期間でここまで脳が破壊されるのを、私も見た事がありません。
せめてもの救いは、長期に渡って薬物を投与されなかった事です。
もし、救出が遅れていたら、取り返しのつかない事になったでしょう。」
宝田は深刻な表情でそう言った。
1
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
世界に、私たちだけ
結城らい
恋愛
バニーガールのレイカとミヤコ。いつものナイトクラブの夜――のはずが、ふたり以外の“全員”が消えてしまった。誰もいない店内、誰も走っていない街。怖いのに、どこか解放されてしまう。見られない自由の中で、ふたりは静かに、確かめ合うように抱きしめ合う。けれど未来は空白のまま。それでも今夜だけは、ネオンの下で、この愛の時間を味わっていたい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる