N -Revolution

フロイライン

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「ねえ、サオリ

ワタシってさあ、したことなかったんだよ。」


ミカは、また恥ずかしそうな表情で言った。


「えっ、オナ?」


「うん。」


「ワタシはホルモンする前はしてたよ。
自分が女性で、男性に犯されるところを想像しながらね。
でも、ホルしてからは一切してないし、タマ抜いてからは、マジそんな気持ちになんない。」


「うん。その感覚はよくわかるわ。

ワタシの場合、自分に男のアレが付いてるのがイヤで、見たり触ったりするのも気持ち悪かったのね。

でも、人工的だけど、女性と同じものが付いたじゃない?

もちろん性欲はないし、ムラムラする気持ちも湧いてこないんだけど、触れると気持ちいいのは事実で…

こんなに痛い思いして、ようやく手に入れたカラダだし、楽しまなきゃって思ってたのね。

そしたら、手が伸びてて…

しちゃったの。」



「でも、ちゃんと気持ちいいってスゴイよね。
ワタシは、ミカちゃんが辛い思いしてるのを横で見てきたから、性転換手術は絶対にしないと思うけど…」


「サオリって、キスとかしたことあるの?」


「えっ、ワタシ?

ないない、そんなの全然…」


「ワタシもなの。
この歳になるまで、人を好きになるってことがなかったの。
なかったっていうか、好きにならないようにしてた。

漠然と、いいなあって思う男子がいたんだけど、好きになっちゃいけないって思ったし、ワタシみたいな人間は、そんな資格はないと勝手に判断してたの。
告白とかしてさあ、断られた上に、みんなにバラされたら、そこで人生終わってしまうしね。」


「ワタシもそんな感じよ。
好きな人はいたけど、告白なんてする勇気はなかったわ。

ワタシらみたいな人って多いかもよ。
アキちゃんは経験豊富っぽいけど」


「アキは、そうだろうね。

ワタシやサオリと雰囲気っていうか、生きてきた道が違ってるような気がする。」


「うん。」





「…キスしてみる?」



「えっ?」



「ワタシ、サオリとキスしたい。」


「…

いいよ。」


ミカの誘いに、サオリは素直に従い…



二人は顔を近づけ、そっと唇を重なり合わせた。

だが、五秒ほどで、すぐに離してしまうと、お互いの顔を見合わせて爆笑した。


「あー、しちゃった!」

ミカが顔を真っ赤にして言うと、同じくらい顔を赤くしたサオリが

「恥ずかしっ」

と、顔を両手で覆い、照れまくった。


「でも、思ってよりよかったわ」


「うん…ワタシも」

照れはしたが、思いの外よかったという感想を、二人は持ったのだった。


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