N -Revolution

フロイライン

文字の大きさ
105 / 190

誇りと信頼

しおりを挟む
「美郷…

間違ってたらすまない。」


「えっ…」


その場からすぐにでも立ち去りたい衝動に駆られていたミサトに、亘は敢えて落ち着いた口調で話しかけた。


「美郷

ひょっとして、お前の心は女子なんじゃないのか…」



「…」


いきなりの核心を突く亘の発言に、ミサトはびっくりして一切のリアクションが取れなくなってしまった。


「お前と一緒に住むようになってから、何となくそうなんじゃないかって思ってたんだ。

それが、今のお前のリアクションで間違いないって確信してしまった。」



ミサトは、亘の言葉を聞き、思わず、父の目を見た。


だが、ひた隠しにしてきた秘密がバレたにもかかわらず、亘の自分への眼差しは、驚くほど優しいものだった。

ミサトは、亘と血が繋がらない父子関係だからこそ、あまりシリアスにならずに済んだのではないかと、自分なりに分析した。

母が不在のこの状況下で、自分の事を我が子のように可愛がってくれるが、血が繋がらない亘と、二人だけの空間…


今ならカミングアウトできる


ミサトは、自分にそう言い聞かせると、カミングアウトする覚悟を決めたのだった。



「お父さん…

ごめんなさい…」


「どうした?

何も謝る事はないよ。

俺でよければ話くらいは聞かせてもらうぞ。」


「うん…

言われた通り…

小さい時から自分の性別っていうものに違和感があって…」


「そうか…」


「体は男なのに、気持ちは女子だった…

でも、やっぱりそれはおかしな事だと思ったから…
誰にも言えず、今まで…」


ミサトがそこまで語ると、亘は、ミサトの肩に手を置いた。


「もう言わなくていいよ。

苦しかったな。

よく一人で耐えてきた」

という言葉を投げかけた。


ミサトの胸に、亘の言葉は言葉では言い表せないほど沁み、もうそこからは我慢できなかった。


ミサトは、肩を震わせて泣き出し、亘は慈しみの表情で頭を撫でた。


ミサトは、この理解ある父に大いに感謝すると共に、心が解放されたような気がした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

秘書と社長の秘密

廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。 突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。 ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

処理中です...