NH大戦争

フロイライン

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天宙

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術後三日目、まだ腫れと痛みはあったが、多少は動けるようになり、零は約束通り、芙美子の元へやってきた。


「お婆ちゃん…」


「もういいのかい?動いて。」


「うん、大丈夫。」


「わかったわ。
だったら、あっちに行こうか。」


芙美子は、いつもの修行の場である、隣の板の間に、零と入っていった。


「零、アンタ
どうして気付いた?」


「わかんない。
でも、なんとなく…」


「本能ってやつかね。

いいわ。

いつもの通り一メートルね。」


芙美子はそう言うと、蝋燭に火をつけ、一メートル先に零を正座させた。

手術痕が痛んだが、我慢して正座をし、蝋燭に正対した。


「よし、いつでもいいわよ。」


芙美子が合図すると、零は頷き、蝋燭の火を見つめた。

すると、見つめた瞬間に火が消えたばかりか、蝋燭台までもが勢いよく後ろに倒れた。


芙美子は目を見開き、倒れた蝋燭に目をやると、続いて零に視線を送った。


「これは驚いたわ。」


「お婆ちゃん

これってワタシがやったの?」

零も半ば信じられない思いで、質問したが


「そうよ。
アンタの力よ…零」

いつも冷静な芙美子も、興奮の色を隠せない様子で答えた。


「お婆ちゃん

なんとなくなんだけど、ワタシ

こうなれるって思ったの。
本当に何故だかわかんないけど。

でも、どうしてだかはわかんない。」


「それは、タマを取ったからだろうよ。

間違いないわ。」



「えっ、でも…
ワタシは女の子っぽいカラダになりたくてタマを取っただけなのに…」


「いや、大いに関係があるわ。

呪詛ってのは、必ず自分に返ってくるものなの。
何故だかはわからないけど、男には特にね。

そもそもこの家に生まれた男たちは、この前までのアンタと同じで、呪詛の能力が全く無い者も沢山いたらしいわ、歴代の家系図を辿るとね。

アンタの父親は、才能があったけど、返りには勝てず、病気になってしまった。」


「うん…」


「私はねえ、アンタに才能がない事を半ば喜んでいたのよ。

これで呪詛師としての系譜は途絶える事になるけど、フツーの人生を零が送れるなら、それでいいってね。」

「…」

「でも、やっぱりご先祖様に顔向けが出来ないと、零に本当に才能がないのか、もう少し見極めてみたいと思い、修行だけはさせてきたの。」


「うんうん…」


「やっぱり才能がない事がわかり、ホッとしたんだけど、その反面、アンタが小さい時から女の子の格好を好んだりするのに何かの意味があるんじゃないかって、ずっと思ってたの…」


「意味があったの?」


零が言うと、芙美子は静かに頷いた。
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