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Lesson54
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「婚姻届の保証人になっておいて、こんな事を言うのは何だが…
ちょっと展開が早すぎないか?」
社長の田中は、香菜子と優斗が無事入籍をしたという報告を受け、少し呆れた表情を浮かべ、笑って言った。
「結婚するのは決まってましたので、それだったら早い方がいいかなって。」
優斗は、平然と答えた。
「まだ4月末だぞ。
キミら、付き合ってからどれくらい経つ?」
優斗は、香菜子の顔を見て
「二週間くらいですかね」
と、また、平然とした表情で言った。
「そんなんじゃお互いの事もよくわからんだろ?
大丈夫か?
性急に進めてしまって。」
「すみません…」
香菜子は、年長者として、このような短絡的な物事の決め方をしてしまった責任を感じ、深く反省した様子で項垂れた。
「まあ、もう籍を入れたんだし、外野がとやかく言うこともないか。
ところで、式はどうする?
新婚旅行も。」
「盛大な挙式をする事は、今は考えていません。
でも、妻にはウエディングドレスを着せてあげたいので、少ししたら二人だけで式を挙げようと考えています。
新婚旅行は、ちょうどゴールデンウィークに二人で伊勢に行くことになっていましたので、それで今は我慢しようと。
落ち着いたらまた二人で考えます。」
「そうか。
まあ、もう入籍したんだし、周りから変に噂される事はあるまい。
仕事に頑張ってくれ。
超スピード結婚した事を色々と陰口する者はいるだろうがな。」
「はい。
それは、覚悟の上ですので。」
ここでもまた優斗が答えた。
「それにしても、新開君。」
「はい?」
「僅かな期間で、随分としっかりしたもんだな。
4月初めに初めてここに来た時とは雲泥の差だ。」
「妻と出会って、自分の至らない部分ていうのが少しわかったような気がします。
だから、一日でも早く近づけるように頑張ろうと思いました。」
「なるほどな。
とにかく、頑張ってくれたまえ。」
「ありがとうございます。
それでは失礼致します。」
優斗が頭を下げると、香菜子も慌ててお辞儀をし、優斗の後をいそいそと付いて出ていった。
田中は、その様子を、苦笑いを浮かべて見つめた。
ちょっと展開が早すぎないか?」
社長の田中は、香菜子と優斗が無事入籍をしたという報告を受け、少し呆れた表情を浮かべ、笑って言った。
「結婚するのは決まってましたので、それだったら早い方がいいかなって。」
優斗は、平然と答えた。
「まだ4月末だぞ。
キミら、付き合ってからどれくらい経つ?」
優斗は、香菜子の顔を見て
「二週間くらいですかね」
と、また、平然とした表情で言った。
「そんなんじゃお互いの事もよくわからんだろ?
大丈夫か?
性急に進めてしまって。」
「すみません…」
香菜子は、年長者として、このような短絡的な物事の決め方をしてしまった責任を感じ、深く反省した様子で項垂れた。
「まあ、もう籍を入れたんだし、外野がとやかく言うこともないか。
ところで、式はどうする?
新婚旅行も。」
「盛大な挙式をする事は、今は考えていません。
でも、妻にはウエディングドレスを着せてあげたいので、少ししたら二人だけで式を挙げようと考えています。
新婚旅行は、ちょうどゴールデンウィークに二人で伊勢に行くことになっていましたので、それで今は我慢しようと。
落ち着いたらまた二人で考えます。」
「そうか。
まあ、もう入籍したんだし、周りから変に噂される事はあるまい。
仕事に頑張ってくれ。
超スピード結婚した事を色々と陰口する者はいるだろうがな。」
「はい。
それは、覚悟の上ですので。」
ここでもまた優斗が答えた。
「それにしても、新開君。」
「はい?」
「僅かな期間で、随分としっかりしたもんだな。
4月初めに初めてここに来た時とは雲泥の差だ。」
「妻と出会って、自分の至らない部分ていうのが少しわかったような気がします。
だから、一日でも早く近づけるように頑張ろうと思いました。」
「なるほどな。
とにかく、頑張ってくれたまえ。」
「ありがとうございます。
それでは失礼致します。」
優斗が頭を下げると、香菜子も慌ててお辞儀をし、優斗の後をいそいそと付いて出ていった。
田中は、その様子を、苦笑いを浮かべて見つめた。
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