pretty preschool teacher

余韻

「おいおい、今日はハルカがご飯作る日なんだぞ。

もう、腹減りすぎて死にそうだよ、俺」


「オレもー」

凛太郎と大輝が声を揃えて不満を漏らした。


「もう、ごめんて


だって仕方ないじゃない。シングルのパパさんがお仕事が長引いて迎えに来れなかったんだから。」


遥はキッチンに立ち、冷蔵庫から食材を取り出しながら言った。


「シングルマザーはよく聞くけど、シングルファーザーは無理じゃね？
それも小さい子抱えてさあ。」


凛太郎が言うと、遥も頷き

「ワタシも無理だと思う。
夫婦揃ってても共働きだったらかなりキツそうだし、それがお父さんだけとなると…」

と、神妙な面持ちで言った。


「ま、給料安いんだし、そこまでオマエがやることないと思うけどなあ。」


「大輝はその場にいないから言えるのよ。

親が迎えに来ないっていうシチュエーションが、小さい子供には耐えられないのよ。
だから、迎えに来るまで一緒にいてあげたいって思ったんだよ。


豚肉あるし、生姜焼きでいい？」


「おー、いいじゃん

よろしく」


遥は手際良く料理を始め、あっという間に二人の食事を作り上げた。


「美味そう

いただきまーす」


「こりゃ美味い

遥の生姜焼きは昔から絶品だよ」


「褒めなくていいわよ。

明日はワタシ帰りが遅いからリンタか大輝がご飯作ってね。」


「なんだよ、遅くなるって
明日休みじゃん、どっか行くのか？」

凛太郎が聞くと、遥は頷いた。


「うん。コンパ」


「コンパって、お前が？」

大輝が少し意外な顔をして割り込んできた。


「仕方ないじゃない。
先輩に頼まれて人数合わせで入れられたのよ。

これも付き合いだから」


「お前、大丈夫か？」


「うん。

上手くやるわ、先輩をアシストしないといけないからね。」


「いやいや、そうじゃなくて
お前が行ったらアシストにならねえんじゃないかって。

男の関心が全部お前に向くだろ。」


「そんな事ないわよ。だって…」


「大輝も俺もお前にはそういう感情を抱かないけど、何も知らんヤツが見たら、絶対お前に来るって。

だってお前、マジ美人だからな。」


「な、何言ってんのよ。
そんなわけないじゃん」


遥は耳まで真っ赤になって俯いてしまった。


「そうだなあ。
なんかお局さんみたいな人がいて、そのアシストしなきゃなんねーんだろ？」

「うん、そう」


「だったら、なるべく嫌われるように持っていくようにな。」


「どうやって？」


「お前、薄化粧だから当日は厚くしていくとか、あとは男が嫌がるガサツな女を演じるとか、食べ方汚いとか」


「えーっ、なんかイヤだなあ。

でも、参考になるわ

ありがとう」

遥は二人に感謝の言葉を述べた。