pretty preschool teacher

フロイライン

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憧憬

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「妻とは職場で知り合ったんです。

手前味噌な話なんですが、妻は美人で有名で、私が射止めて結婚するってなった時は、社内で散々妬まれました。

私の自慢の妻で、顔は勿論なんですが、性格っていうか中身も素晴らしい女性だったんです。」


「そうだったんですね…」


「昨年末、不慮の事故で妻を失い、さすがに私もどん底に突き落とされてしまいました。

俊斗も小さいですが、妻が突然いなくなり、夜中に起きて泣いたり、不安定な状態が続きました。

ですが、この春、石川先生が受け持つクラスに上がった途端、俊斗の様子がみるみる変わっていくのがわかりました。

石川先生には本当に感謝しています。」


「いえ、ワタシは何も…」


「俊斗の事を考えると、愛多幼稚園にどうしても居させてやりたいと考えてしまい、ずるずると今に至ってしまいました。

すいません…」


岩見は正直な気持ちを吐露した。


遥は何も言えなくなった。
自分の事を美人だというほどの自惚れはないが、たしかに岩見の妻は自分にそっくりであった。

他人ではなく、遥本人がそう思うのだから、相当に似ているということだ。


「あの、岩見さん

事情はよくわかりました。

わかりましたが、このままでは何の解決も見ないまま、最悪の状況に陥る可能性があります。

何かしらの打開策を見つけないと…」


「そうですね。

石川先生にまでご迷惑をおかけして本当に申し訳ないです。」


「あの、失礼ですが、岩見さんのお父様やお母様にお力添えを頂くというのはどうでしょう。」


「出来ることならそうしたいんですが、三年前に親父が倒れまして、以来寝たきりなんです。
母もその介護で手一杯で、こっちを手伝う余裕なんてなくて…」


「そうですか…
難しいですね

それじゃあ、お勤め先にもう少し融通を利かせてもらうのは?」


「私も職場にはそう願い出ているんですが、小さな会社で、私がいないと忽ち回らなくなってしまい、ついつい帰宅時間を過ぎる事が多くて。」


「お気持ちはよくわかりますが、なるべくお仕事を切り上げて、時間通りにお迎えに来ていただけるようにお願いします。」


「わかりました。」


「勿論、五分や十分の遅れは大丈夫ですので、そこまできっちり時間内にって事は申しません。

ワタシもその辺りの事は園長先生に話をしておきますので。」


「ありがとうございます。」


岩見は深々と頭を下げた。
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