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temptation
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実りある…とまではいえなかったが、遥は岩見に現状を伝える事ができて、少しだけ安堵していた。
時計を見ると、昼を過ぎており、二時間近く話をしていた事になる。
「岩見さん。
それでは、ワタシがお話した件につきまして、くれぐれもよろしくお願いします。」
と、いつまでも引っ張っていられないと思った遥は、この会談の締めを行った。
「石川先生
俊斗の事を考えていただいて、本当にありがとうございます。
アドバイスいただいたことを必ず実践してまいります。」
岩見も端正な顔を崩して笑みを浮かべ、ぺこりと頭を下げた。
「それでは、そろそろ…」
遥が言うと、岩見は少し考えるような素振りを見せたが、すぐに遥の方を見つめ
「あの、石川先生
昼ごはんをご一緒できますか」
と、言った。
「えっ…
いえ、それだったら俊斗君を早く迎えに行ってあげて下さい」
遥は、突然の誘いに戸惑いながら、やんわりと断った。
「いえ、俊斗は向こうでご飯を食べさせてもらいますので。
3時過ぎに引き取りに行く事になっています。
一人で食べるのも味気ないので、いかがでしょう。
本当に他意はありませんので」
岩見がそう言うと、遥もまた少し考える時間があったが…
再度の固辞はしなかった。
彩が園児の父親とプライベートで会ったことに驚き、少し軽蔑してしまった遥だったが、果たしてこれは許されるのか?
そもそも、こうして二人きりで会っている時点で、同類であるといえる。
他人がすれば不倫、自分がすればロマンス
まさにその通りである…
遥は自らの行いを反省した。
多分、普段の自分ならついて行かなかっただろう。
だが、岩見の境遇の不憫さ
岩見が独身であること
そして、何よりも自分が岩見の亡くなった妻に似ているという、シンパシーが遥の判断を鈍らせたのだった。
それともう一つ
遥自身、全く自覚を持っていなかったが、岩見良太という男性のルックス、雰囲気に惹かれていた。
恋愛経験がゼロの遥には、自分の中にある感情がどこから来たものかさっぱりわからなかったが、ここまで岩見親子の為に手を差し伸べたのは、担任教諭としての責任感から来るものだけではなかった。
一目見た時から岩見良太という男性に好意を抱いてしまっていたのだ。
知らず知らずのうちに…
時計を見ると、昼を過ぎており、二時間近く話をしていた事になる。
「岩見さん。
それでは、ワタシがお話した件につきまして、くれぐれもよろしくお願いします。」
と、いつまでも引っ張っていられないと思った遥は、この会談の締めを行った。
「石川先生
俊斗の事を考えていただいて、本当にありがとうございます。
アドバイスいただいたことを必ず実践してまいります。」
岩見も端正な顔を崩して笑みを浮かべ、ぺこりと頭を下げた。
「それでは、そろそろ…」
遥が言うと、岩見は少し考えるような素振りを見せたが、すぐに遥の方を見つめ
「あの、石川先生
昼ごはんをご一緒できますか」
と、言った。
「えっ…
いえ、それだったら俊斗君を早く迎えに行ってあげて下さい」
遥は、突然の誘いに戸惑いながら、やんわりと断った。
「いえ、俊斗は向こうでご飯を食べさせてもらいますので。
3時過ぎに引き取りに行く事になっています。
一人で食べるのも味気ないので、いかがでしょう。
本当に他意はありませんので」
岩見がそう言うと、遥もまた少し考える時間があったが…
再度の固辞はしなかった。
彩が園児の父親とプライベートで会ったことに驚き、少し軽蔑してしまった遥だったが、果たしてこれは許されるのか?
そもそも、こうして二人きりで会っている時点で、同類であるといえる。
他人がすれば不倫、自分がすればロマンス
まさにその通りである…
遥は自らの行いを反省した。
多分、普段の自分ならついて行かなかっただろう。
だが、岩見の境遇の不憫さ
岩見が独身であること
そして、何よりも自分が岩見の亡くなった妻に似ているという、シンパシーが遥の判断を鈍らせたのだった。
それともう一つ
遥自身、全く自覚を持っていなかったが、岩見良太という男性のルックス、雰囲気に惹かれていた。
恋愛経験がゼロの遥には、自分の中にある感情がどこから来たものかさっぱりわからなかったが、ここまで岩見親子の為に手を差し伸べたのは、担任教諭としての責任感から来るものだけではなかった。
一目見た時から岩見良太という男性に好意を抱いてしまっていたのだ。
知らず知らずのうちに…
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