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水入らず
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遥はリビングに移動すると、久しぶりに母と話をした。
普段はLINEで短くお互いの事を聞いたりはするが、それ以上掘り下げることもない。
奈津子は、遥が職場で馴染んでるかを特に心配しており、質問はその部分に集中した。
「遥、ところで幼稚園の方は上手くやっていけてるの?」
「うん。
大丈夫よ
今のところはね。」
「性転換してることは内緒にしてるんよね?」
「うん。
理事長と園長先生以外には。」
「同僚の先生にバレやしないかねえ。」
「それも今のところは大丈夫。
すごく仲良くして下さってる先輩がいてね。
その人にはゆくゆくはカミングアウトしようとは思ってるの。」
「えっ、大丈夫かい」
「うん。
信頼できる人だし、その辺は安心してる。」
「それならいいんだけど。」
「自分で言うのもアレなんだけど、わりと上手くやれてるのよ。
ホントに」
「そうなの?」
「うん。
まあまあ人気だってあるんだから」
「へえ、そうなのかい」
「まあね。
あ、それとお母さん…
言うかどうか、迷ったんだけど…
思い切って言うわ。」
「うん。
何の話だい?」
「実は、ワタシ
プロポーズされたの…」
「…」
「…」
「…」
「あの…お母さん
聞いてる?」
「あ、いえ…
うん
プロポーズ??」
「そう。
プロポーズ」
「ええーっ!」
「まあ、そういリアクションになるよね…」
「それは、いや…
相手の人は男性なのかい?」
「そりゃそうよ」
「ヤダ…アンタ…」
「ワタシが女じゃないって知った上で、結婚して欲しいって。」
「知った上で…」
「実は、幼稚園に通ってる子のお父さんなの。
シングルファーザーってやつで。」
「遥、アンタ
幼稚園の保護者に手を出したの?」
「ヤダなあ、その言い方。
ワタシがプロポーズしたんじゃないんだからね。
されたのよ。」
「まあ、それはどっちでもいいわ。
それでアンタはどう思ってんのよ、相手の人のこと」
「うん。すごく好き
波長も合うし、一緒にいて楽しいし。」
「でも子供がいるんだろ?」
「そうだけど…
それはワタシも覚悟してるし、職業柄その面については全く心配してないの。」
遥の言葉に、奈津子は我を失ったように、上擦った声で次々と質問をした。
遥自身は、自分の思っている事を初めて誰かに言えて、ホッとした気持ちに包まれていった。
普段はLINEで短くお互いの事を聞いたりはするが、それ以上掘り下げることもない。
奈津子は、遥が職場で馴染んでるかを特に心配しており、質問はその部分に集中した。
「遥、ところで幼稚園の方は上手くやっていけてるの?」
「うん。
大丈夫よ
今のところはね。」
「性転換してることは内緒にしてるんよね?」
「うん。
理事長と園長先生以外には。」
「同僚の先生にバレやしないかねえ。」
「それも今のところは大丈夫。
すごく仲良くして下さってる先輩がいてね。
その人にはゆくゆくはカミングアウトしようとは思ってるの。」
「えっ、大丈夫かい」
「うん。
信頼できる人だし、その辺は安心してる。」
「それならいいんだけど。」
「自分で言うのもアレなんだけど、わりと上手くやれてるのよ。
ホントに」
「そうなの?」
「うん。
まあまあ人気だってあるんだから」
「へえ、そうなのかい」
「まあね。
あ、それとお母さん…
言うかどうか、迷ったんだけど…
思い切って言うわ。」
「うん。
何の話だい?」
「実は、ワタシ
プロポーズされたの…」
「…」
「…」
「…」
「あの…お母さん
聞いてる?」
「あ、いえ…
うん
プロポーズ??」
「そう。
プロポーズ」
「ええーっ!」
「まあ、そういリアクションになるよね…」
「それは、いや…
相手の人は男性なのかい?」
「そりゃそうよ」
「ヤダ…アンタ…」
「ワタシが女じゃないって知った上で、結婚して欲しいって。」
「知った上で…」
「実は、幼稚園に通ってる子のお父さんなの。
シングルファーザーってやつで。」
「遥、アンタ
幼稚園の保護者に手を出したの?」
「ヤダなあ、その言い方。
ワタシがプロポーズしたんじゃないんだからね。
されたのよ。」
「まあ、それはどっちでもいいわ。
それでアンタはどう思ってんのよ、相手の人のこと」
「うん。すごく好き
波長も合うし、一緒にいて楽しいし。」
「でも子供がいるんだろ?」
「そうだけど…
それはワタシも覚悟してるし、職業柄その面については全く心配してないの。」
遥の言葉に、奈津子は我を失ったように、上擦った声で次々と質問をした。
遥自身は、自分の思っている事を初めて誰かに言えて、ホッとした気持ちに包まれていった。
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