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勲功
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「石川先生
ウチは私立の幼稚園だから、ある程度はこちらの裁量で決められるのよ。
もし、石川先生がこの幼稚園の事が好きで、辞める事に迷いがあるなら、私の提案を聞いてもらえないかしら。」
「はい…」
早紀の言葉に、遥は戸惑いながらも頷いた。
「石川先生は紀藤先生と仲良しだから、もう聞いて知っているかもしれないけど、紀藤先生が結婚する事になり、三月末をもってここを退職するの。」
「はい。それはお聞きしています。」
「まあ、樋谷先生の事は、私も思うところはあるけど、あまりプライベートな事にこちらが口を挟むのも良くないことだと思って、今までは静観してたけど、紀藤先生の件があって、今後は私や理事長が彼女を注意したり、指導をするから、その辺は安心して。」
「それは…」
「その事はさておいて、紀藤先生が辞めるって事で、新しくここに来てくれる先生を募集しようと思ってるの。」
「そうなんですね…」
「石川先生、結婚してお子さんと一緒にいてやりたいと思うのなら、時短勤務で続けても、ウチは全然構わないわよ。
さらにもう一人雇えばいいんだから。」
「えっ?」
「戸籍上で女性だとか、そうでないとか、本人にとっては深刻な問題だと思うけど、私からしたら幼稚園教諭をする上で、そんな事に大した意味がないっていうのをあなたに教えられたの。
昔と違って、男性の保育士さんや幼稚園教諭っていうのが当たり前の世の中になったからこそ、本当の自分の性で頑張る石川先生の姿に、私は感動をもって見ていたの。」
「そんな…
ワタシはただ、ワガママなだけで、園児や保護者さんにとって、ご迷惑をおかけしてるんじゃないかって、ずっと悩んでました。」
「そんな事ないわ。
あなたのような先生に受け持ってもらった子達は幸せよ。
子どもたちの顔を見てたらわかるもの」
早紀がそう言うと、遥は顔を両手で覆って泣き出した。
子供のように声を出し、肩を震わせながら…
ウチは私立の幼稚園だから、ある程度はこちらの裁量で決められるのよ。
もし、石川先生がこの幼稚園の事が好きで、辞める事に迷いがあるなら、私の提案を聞いてもらえないかしら。」
「はい…」
早紀の言葉に、遥は戸惑いながらも頷いた。
「石川先生は紀藤先生と仲良しだから、もう聞いて知っているかもしれないけど、紀藤先生が結婚する事になり、三月末をもってここを退職するの。」
「はい。それはお聞きしています。」
「まあ、樋谷先生の事は、私も思うところはあるけど、あまりプライベートな事にこちらが口を挟むのも良くないことだと思って、今までは静観してたけど、紀藤先生の件があって、今後は私や理事長が彼女を注意したり、指導をするから、その辺は安心して。」
「それは…」
「その事はさておいて、紀藤先生が辞めるって事で、新しくここに来てくれる先生を募集しようと思ってるの。」
「そうなんですね…」
「石川先生、結婚してお子さんと一緒にいてやりたいと思うのなら、時短勤務で続けても、ウチは全然構わないわよ。
さらにもう一人雇えばいいんだから。」
「えっ?」
「戸籍上で女性だとか、そうでないとか、本人にとっては深刻な問題だと思うけど、私からしたら幼稚園教諭をする上で、そんな事に大した意味がないっていうのをあなたに教えられたの。
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