新•ニューハーフ極道

フロイライン

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穏やかな日々

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十日前



翔子は、目を覚ますと、枕元の時計を見た。

午前5時すぎ…


一糸纏わぬ姿でベッドに入っていた翔子は、隣りで眠る夫の秀和を起こさないように、そっと布団から抜け出し、下着を履いた。

そして、豊満で美しい乳房を包み隠すようにブラを着けると、服を着込み、部屋を出ていった。

トイレに行き、歯磨き、洗顔を済ますと、自分の部屋でメイクを始めた。

メイクを素早く済ませると、また洗面所に行き、髪をセットした。

そして、朝食の準備を始めるのだ。

秀和と結婚して以来、このルーティンでずっとここまでやってきた。


だが、こんな生活も、そろそろ終わりを迎えるときが迫っていた。


何故なら、秀和の体調がここのところずっと、思わしくなく、今年に入って引退する事を決めたのだ。


日本最大のヤクザ組織である上本組の組長である上本秀和は、その才覚を武器にのし上がり、一代でこの巨大な組を作ったのだった。

大阪の地において、二十年以上前は、垂水組という上本組をはるかに凌駕するほどの広域暴力団があった。

しかし、垂水組と敵対する大友組は、テロ行為とも呼べる無差別殺人を行い、組長の岡田優磨をはじめ、傘下組織を含めて、多数の犠牲者を出した。

当時、既に警察が暴力団の封じ込めに躍起になっていた事もあり、垂水組は報復をせずに自重したが、組員達は弱気な幹部達への不満を平然と述べるようになり、いつ爆発してもおかしくない状況が続いていた。

しかし、それを察知したのかどうかはわからないが、岡田優磨の未亡人である岡田未来が、知り合いの松山亮輔、新田薫の三人だけで大友組に乗り込み、結果として、大友組を壊滅させる事に成功したのだった。


垂水組は、再び活気を取り戻すかと思われたが、警察による封じ込めは、巨大組織に対しては特に苛烈で、それに耐えきれなかった垂水組は、程なくして分裂してしまったのである。

上本組は、イケイケだった秀和が二十代の若さで興した新興の組織だったが、垂水組分裂後にさらに勢いを増し、徐々に頭角を現していった。

他の組と吸収合併を繰り返し、組織が巨大化した上本組は、気がつけは日本一の巨大な暴力団の地位に上り詰めていた。

ここまで来るのには、秀和の力だけではなく、先妻の祥子の内助の功も多分にあった。

しかし、人生とはそうも上手くはいかないもので…

最愛の妻、祥子を病気で亡くした秀和は、生きる気力を失くし、せっかく大きくした組が瓦解する危機に陥った。


それを救ったのが、今の妻、翔子であった。



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