新•ニューハーフ極道

フロイライン

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威信

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「佐竹」


「はい。

なんでしょうか、課長。」


課長の石田に呼び止められた佐竹は、振り返って返事した。


「二人が行方不明になってから、一年が経ってしまった。」


「そうですね…

この一年、必死になって捜査を重ねてきましたが、有力な情報が得られず、時間ばかりが経過してしまいました。」


「早川と佐々木君が車を降りて、路地に入っていくまでは、街頭防犯カメラシステムに映っていたんだが…その後が全く…」


「あの辺りは、旧大友組のシマだったんですが、ガサ入れしても何も出てきませんでした。」


「もう一年が経過してしまい、二人の生存が危ぶまれている。

早川も気の毒だが、佐々木君については、研修でお預かりしていた身として、本当に申し訳ないかぎりだ。」


「そうですね…

キャリア組が研修で現場に出るようになったのって、佐々木君の年からですよね…

運がないというか…」


「そうだな。

彼女は、東大法学部を首席で卒業するほどの頭脳明晰で将来を嘱望された人物だった。

女性初の警視総監も夢物語ではないとさえ思えた才女だったんだが…」


「佐々木君は、お父さんも警察の人間でしたよね。」


「ああ。

南署で署長をされていたが、今回の事件が起きた後、警察を辞められたよ。」


「辞めた?

辞めたんですか?」


「捜査が遅々として進まないのが耐えられなかったんだろう。

自分の手で娘を取り返すって言われて…」



「そうですか…


自分も、早川は何かと目をかけてきた可愛い後輩でしたから…

この前、アイツのお母さんにお会いしましたが、憔悴されてました。」


「そりゃそうだろう。

神隠しとは言わないが、現代社会において、こんな事が起きるんだからな。

とにかく、俺たちは地道に捜査を続けるしかないさ。」


石田は、佐竹の肩をポンと叩いて去っていった。


佐竹は一礼すると、今日もまた失踪の現場となったあの場所に向かった。
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