タイは若いうちに行け

フロイライン

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ワタシはそもそも酒を飲んではいけない人間だ。

実際、口にしたことはない。

二十歳になってもいないし、当然と言えば当然だ。

さらに、性転換され女性ホルモンの投与を受けていることで、アルコールには弱くなっていると予想された。


これは、女性ホルモンがアルコールの代謝を抑制してしまう性質があることから、ニューハーフが酒に弱くなってしまう傾向が出てしまうのだとか…


そんな知識もないワタシは、場の雰囲気にのまれて、ついつい口にしてしまったのである。


全てはこれがいけなかった。


全く飲み慣れてない酒を口にして、すぐにワタシは記憶を失ってしまった。


そして、目が覚めたら、もう夜になっていて、ワタシは時任のベッドで寝ていた。



「えっ、ワタシ…」

四人の前では男キャラを作っていたのを忘れ、ワタシは自分の事を「ワタシ」と言ってしまった。


「大丈夫か?」


時任が心配そうにワタシに声をかけてきた。


時任の後ろには、他の三人もいて、皆がワタシを見つめている。


「ごめん

お酒飲んで…

そっから記憶がないの。」



「うん。

お前、飲んですぐにぶっ倒れちゃって。」



「えっ、すぐに?


ごめん…迷惑かけちゃって。」



「それはいいんだけど、大丈夫か?」



「なんか少し気持ち悪くて、頭がガンガンするけど…大丈夫」



「酒井、悪かったな。

ノリで飲む感じになってしまって。


そろそろ解散するか。」


時任がそう言うと、三人ともが頷き、本橋も


「酒井、帰ろう。

俺が送ってくから心配すんな」


と、言ってきた。


「送ってくって

お前ら隣同士だろ。」


三木がそう言うと、皆、少しだけ笑った。





ワタシは、本橋の腕に縋り付くようにして家路に急いだ。


「大丈夫か?

少し休もう」



「ううん

大丈夫


本橋、ごめんね

迷惑かけちゃって…」



「いや、それは全然…」


本橋は、そう言うと、なぜか俯いた。


あ、そうか…

ワタシがキャラ作りをやめて、女言葉全開だから戸惑ってるのか…



「本橋、ワタシ

今はもう心の中も女って自覚が半分以上芽生えてて…


ううん、八割くらいかな。


自分の事をワタシって言うのが、ラクっていうか自然ていうか…

ごめんね、気持ち悪いでしょ?」



「あ、いや、そんな事ないよ…」


本橋は、暗い表情のまま、ボソッと言った。


そして、続けて


「酒井…


ごめん…」


と、何故かワタシに謝ってきたのだった。



「えっ、なんで謝るの?」



「ごめん…


お前が酔ってるのをいいことに、俺達はお前に対して酷いことをしたんだ…」



えっ、何?


何なの?


1ミリの記憶もないワタシは、本橋の言葉に驚きと戸惑いの色を見せてしまった。
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