タイは若いうちに行け

フロイライン

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女として

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「私ね、会社を辞めたのよ。」


佐藤チーフは、ワタシにそう告げた。



「えっ、どうしてですか?」


「あんまり堂々と話せる事じゃないんだけどね…」


佐藤チーフは,そう言うと、周りをキョロキョロと見回して、人がいない事を確認した上で、ワタシに少し顔を近づけて話し始めた。


「私ね、バツイチだったんだけど、お店の副店長と付き合ってたのよ。」



「えっ!

副店長って…二階の方の?」



「そうそう。衣料の伊原さん。」



「えっ!

それは…」


「でも、私は今は独身なんだけど、彼は妻帯者でね。

いわゆる不倫関係にあったの。」



「…」


衝撃的な話だ。


でも、そんな話を何故ワタシに?



「でね

店の誰かが本部に投書したの。
私らが不倫してて、店でも私情を挟んだ言動,行動が見られるって。

そんな事してるつもりは全然なかったんだけど。」


「…」



「当然、呼び出されて、色々注意を受けて…

結局、店に居づらくなって辞めたのよ。」



「そんな…」



「ごめんね、酒井さんにこんな話しちゃって。


でも、これまで、誰にも言えずに来てて、すごく苦しかったのよ。

酒井さんには申し訳ないけど、思わず全部吐き出しちゃった。」


「いえ、そんなのは全然…」



「酒井さん

こんな人間に言われるのは不本意かもしれないけど…

酒井さんは、いい恋をして幸せになってね。


ごめんね、足を止めちゃって。」


佐藤チーフは、そう言うと、笑って手を振って,その場から去っていった。



ワタシにこんな重い話をしたのは、誰かに聞いて欲しかったのだろうか

じゃないと、こんなガキにここまで込み入った話をするわけがない。


苦しい思いをしてたんだろうな…



でも、佐藤チーフに最後に言われた言葉がグサッと刺さってしまい、どちらかというと、そっちの方がワタシの心を抉った。


いい恋をして、幸せになる…

か…


このままじゃ、そうはならないよなあ。
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