197 / 313
timely
しおりを挟む
「ちょっと待って下さい。」
八尾は、話の途中だった久美子を手で制した。
「どうされました?」
「失踪事件かどうかは分かりませんが、家出や行方不明事件なんてものはあちこちで頻繁に起きていて、別に珍しいものでもない。
ですが、まさに今聞いたような若い女性の失踪事件がこのスタジオ付近で複数件起きているっていうのが、視聴者からの手紙でわかりましてね。
ウチの番組で取り上げる予定になっているんです。」
「八尾ちゃん
それは本当か!?」
横で話を聞いていたジローが間に割り込んできた。
「ええ。
例のソ連の超能力者が来日して透視をします。」
「だったら…」
「ひょっとしたら、久美子さんのお友達の失踪事件もそれらと関連しているかもしれません。
もし、よければウチで扱いますよ。」
「そうか。
俺達も番組で取り上げてもらうつもりで来させてもらったんだ。
そう言ってくれると有り難い。
なあ?久美子」
「はい。
八尾さん、よろしくお願い致します。」
「わかりました。」
「ところでソ連のその超能力者って、いつ来日するんだ?」
「明日日本に着きます。
透視の模様は別撮りなんで、明後日に収録します。」
「何たるタイミングだ!」
ジローは、久美子の肩に手をやり、興奮気味に言った。
二人は、八尾に礼を言い、スタジオを後にした。
外に出ると、ジローは
「その手の超能力者ってのは眉唾物だが、たまにホンモノがまぎれてるって事もある。
俺も、何度かそのホンモノってやつを見た事があるんだよ。
勿論、その何倍ものニセモノも見てきたがな。
八尾ちゃんの言葉を信じるしかねーな。」
久美子に諭すように言った。
「ええ。
今のところ、ヤクザが絡んでるって事しかわかってへんし、何か手掛かりが掴めたら、それに越した事はないねんけど。」
「そうだな。
探偵さんも頑張ってくれてるから、俺らはこれに賭けよう。
あっ…」
「どうしたん?ジローちゃん」
「もし、番組で取り上げられる事になったら、テレビに出なきゃならなくなるが、大丈夫か?」
「うん。
今は一般人やけど、それで何かわかるんやったら、ワタシは全然大丈夫よ。」
「また、芸能界復帰してもいいんじゃねえか」
「ううん…
それは、もうええけど…」
久美子の心の傷は依然として癒えていなかった。
八尾は、話の途中だった久美子を手で制した。
「どうされました?」
「失踪事件かどうかは分かりませんが、家出や行方不明事件なんてものはあちこちで頻繁に起きていて、別に珍しいものでもない。
ですが、まさに今聞いたような若い女性の失踪事件がこのスタジオ付近で複数件起きているっていうのが、視聴者からの手紙でわかりましてね。
ウチの番組で取り上げる予定になっているんです。」
「八尾ちゃん
それは本当か!?」
横で話を聞いていたジローが間に割り込んできた。
「ええ。
例のソ連の超能力者が来日して透視をします。」
「だったら…」
「ひょっとしたら、久美子さんのお友達の失踪事件もそれらと関連しているかもしれません。
もし、よければウチで扱いますよ。」
「そうか。
俺達も番組で取り上げてもらうつもりで来させてもらったんだ。
そう言ってくれると有り難い。
なあ?久美子」
「はい。
八尾さん、よろしくお願い致します。」
「わかりました。」
「ところでソ連のその超能力者って、いつ来日するんだ?」
「明日日本に着きます。
透視の模様は別撮りなんで、明後日に収録します。」
「何たるタイミングだ!」
ジローは、久美子の肩に手をやり、興奮気味に言った。
二人は、八尾に礼を言い、スタジオを後にした。
外に出ると、ジローは
「その手の超能力者ってのは眉唾物だが、たまにホンモノがまぎれてるって事もある。
俺も、何度かそのホンモノってやつを見た事があるんだよ。
勿論、その何倍ものニセモノも見てきたがな。
八尾ちゃんの言葉を信じるしかねーな。」
久美子に諭すように言った。
「ええ。
今のところ、ヤクザが絡んでるって事しかわかってへんし、何か手掛かりが掴めたら、それに越した事はないねんけど。」
「そうだな。
探偵さんも頑張ってくれてるから、俺らはこれに賭けよう。
あっ…」
「どうしたん?ジローちゃん」
「もし、番組で取り上げられる事になったら、テレビに出なきゃならなくなるが、大丈夫か?」
「うん。
今は一般人やけど、それで何かわかるんやったら、ワタシは全然大丈夫よ。」
「また、芸能界復帰してもいいんじゃねえか」
「ううん…
それは、もうええけど…」
久美子の心の傷は依然として癒えていなかった。
4
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる