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double standard
昼は予備校生、夜はニューハーフという生活も段々慣れてきて両立出来るようになってきた。
いや、予備校での成績は少し落ちてきているから両立出来てるとは言えないけど。
さすがに昼間はあくびばかりしているもの。
まあ想定の範囲内ってことで慌ててはいない。
今日もそんな忙しい一日が終わった。
「ユキちゃんお疲れ様。」
「お疲れ様です。」
ママがいつもの笑顔で俺に労いの言葉をかけてくれた。
「ユキちゃん、ここに来てからまだ間がないのにスゴいわ。あなた目当てで来られるお客様が沢山出来たんだもの。」
「いえ、まだまだです。皆さんの足を引っ張ってばかりで…」
「何言ってんのよ。驚異の新人現るって感じね。 ユキちゃん見てるとワタシも見習うことが多いわ。」
ミカ先輩までそう言ってくれて、嬉しくて涙が出そうになった。
「ユキちゃん、今からご飯食べに行くんだけど来ない?」
誘ってくれたのは二番目の年長者亜矢さんだった。
「ありがとうございます。帰って少し勉強したいんで今日は遠慮させてもらいます…
また誘って下さい。」
本当は行きたかったけど、この二重生活を継続させるためには我慢も必要だ。
俺はサッと化粧を落とし男物のシャツに袖を通した。
「ユキちゃんも大変ね。」
今度はレイカさんが気遣いの言葉をかけてくれた。
レイカさんは23才
シャープな顔立ちで、可愛いというよりキレイ系のいわゆるカッコイイ感じの人だ。
「いえ、だいぶ慣れてきましたし。化粧落として着替える時間もかなり短縮出来てます。」
正直すごく面倒くさいんだけど、圭太にこのバイトの事がバレるとややこしくなりそうだし、とにかく今はこのパターン続けていくしかない。
俺は店を出ると、みんなと別れて一人寂しく家路についた。
家に着くと圭太はまだ起きてて、リビングでインスタントラーメンをすすっていた。
「相変わらず遅いんやなあ」
圭太の言葉に、俺は表情を変えずに頷き、そして自分の部屋に入った。
「とりあえず風呂だな…」
俺は疲れきった体を奮い立たせ風呂に向かった。
そのとき、圭太がいきなり声をかけてきた。
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