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注射
しおりを挟むこの少しマヌケな顔のオッサンが山下美容外科の山下院長か…大丈夫かな
「女性ホルモンの投与を希望だって?」
「あ、はい…」
「内臓疾患は無い?特に肝臓とか」
「いえ、健康です。」
「わかりました。じゃあ注射を打ちましょう。1アンプルにする? それとも2アンプル?量が増えても効果に大差は無いと思うけど。」
「えっと… じゃあ2アンプルで」
「じゃあそこの診察台にうつ伏せに寝てお尻出して。」
「えっ… はい…」
(やっぱり簡単に打ってくれるんだ…でもお尻かよ…
仕事前だからパンティ履いてるんだよなあ、恥ずかしい… )
まあ、そんな事も言ってられないよな
俺は意を決してうつ伏せに寝てお尻を出した。
「筋肉注射だから、ちょっと痛いよ。だからお尻に打つんだけどね。」
オッサンはそう言いながら、手際よく準備を整えると、俺のお尻に注射針を突き刺した。
「!」
痛い…
予想以上に痛かった。時間にしたら僅かなんだろうけど、この二本の注射が打ち終わるまで唇を噛んで必死に我慢した。
「はい、終わりましたよ。じゃあまた一週間後に来て下さい。」
こうして記念すべき初の女性ホルモン投与が
無事に終了した。
ユウさんも俺の後にすぐ注射を打ってもらい、二人共病院を後にした。
「ユキちゃん、どうだった?」
「はい、かなり痛かったです。」
「そうね。」
「今のところ何の変化も無いみたいなんですけど…」
「バカね。そんなの急に変化するわけないじゃない~
一年打ち続けても何も変わらない人だっているって言ったじゃない。」
「あ、そうでしたね。」
確かに何も変化しない可能性もあるって言ってたな… 俺の場合どうなんだろう…
でも、そんな心配が無用だとわかるまで
大した時間は必要なかった。
俺の体はこの日を境に、驚異的なスピードで変化を遂げていった。
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