ニューハーフな生活

フロイライン

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「圭太、出来たよ」

ワタシは自分と圭太の晩御飯を作り終えると、アイツの部屋の方に向かって声をかけた。

「おーメシ、メシ
ユキ、いつもありがとう」

圭太は感謝の言葉をワタシに言いながら、向かい側に腰掛けた。

店が休みの時とか、少し時間に余裕があるときは、ワタシが料理を作るのがルーティンとなっている。 

「いやあ、美味いわ、コレ」

なんだかんだ言って、ワタシの女子力は日々進歩して、料理の腕前は相当なレベルに達していた。自己評価だけど。

でも、圭太はいつも美味いと言って本当に美味しそうに食べてくれるから、ワタシとしても作り甲斐がある。

料理の材料費はお金があるワタシ持ちだけど。

「圭太、それで、コンパどうだったのよ?」

ワタシと圭太はご飯を食べながら、互いの情報交換を行うのが日課になっていた。

「ああ、一昨日のやつか。

あかんわ、全然盛り上がらんかったしな。」

「ふーん。
大学生になったら彼女作るって張り切ってたのに、なかなか難しいね。」

「意気込みだけは持ってるけど、現実は甘くない。

ユキはどないやねん?
彼氏出来たんかいな??」

「そんなの作ろうとも思ってない。
めんどくさいし、自分がニューハーフだって説明すんのもダルいわ」

「まあ、そうやなあ。
でも、ユキはめっちゃ美人やから、その気になったらいつでも出来るんとちゃうか。」

「ご飯作ってもらってるからって気を遣わなくていいよ。」

「いやいや、本心やって。
普通に街歩いてたら、めちゃくちゃ美人て思うやん。

さっきの俺のツレも、ぜったいそう思ってたはずや。」

「素直に受け取っとくわ。」

圭太のそういうところ、ワタシは嫌いじゃない。
母性本能?をくすぐられるような気になる事も、たま~にある。

「ごちそうさま!
今日も美味かったわ。

片付けは俺がするから、ユキはゆっくりしときや。」

圭太はワタシの皿と自分の皿を重ねて持ち、キッチンに運んで行った。

こういうところも、アイツは可愛い。

片付けが終わり、お風呂に入り、寝るまでの間、ワタシ達はまたリビングで話をしたり、テレビを一緒に見たりしてすごす。

ニューハーフ生活をするようになって、また、一日中女性モードですごすようになってから、ワタシのすっぴんを見てるのは圭太だけだ。

同居生活をしてもう一年以上になるけど、変に気を遣わないし、リラックスできる関係にある。

どちらかといえば、家族みたいな存在かな。
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