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開拓者
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広大な敷地に建てられた工場、そして本人達は何も聞かされていないが、何かが出ると言われている採掘場。
和人は、この採掘場に配属され、毎日掘削作業に従事させられていた。
三ヶ月、休みもなくだ。
そんな生活が続く中、突如、会長に呼び出されたのだった。
和人は、採掘場を出て、係の者が運転するカートで、本建屋に移動してきた。
その道中、和人は
「あの、一つお聞きしていいですか?」
と、運転する男に質問した。
「なんだ?」
「僕達が掘らされているあの現場って、一体何が出てくるんですか?」
「あー、あれか。
知らないのか。」
「はい。
全く。」
「何も出てこないよ。」
「えっ!」
「まあ、いい。
お前だけに教えてやる。
これは誰にも言うなよ。」
「はい。」
「こんな話を聞いたことないか。
旧ソ連だかどこかの政治犯収容所で、看守は、大量の土が盛られている場所を示し、これを離れた場所に運ぶように命令した。
政治犯の男は命じられた通り、土を掘って手押し車にのせて、遠く離れた場所に少しずつ運び始めた。
1日かけても大して運べない、かなりの重労働だった。
それでも一年間休まずに朝から晩まで作業を続けて、ようやく土を運び終わった政治犯は、看守に作業の終了を報告した。
看守は、男の勤勉な働きに敬意を表した後、こう言った。
それでは、この土をまた元の場所にもどすようにと。」
「…」
「大概の人間は、これをされると精神に異常をきたす。
会長は、こんな話がお好きでな。
自らも似たような事を実践してらっしゃるのだよ。」
「なんで、そんな事を…」
「さあな。
楽しいからじゃねえか。」
看守の男は、そう言って笑った。
和人は、この採掘場に配属され、毎日掘削作業に従事させられていた。
三ヶ月、休みもなくだ。
そんな生活が続く中、突如、会長に呼び出されたのだった。
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その道中、和人は
「あの、一つお聞きしていいですか?」
と、運転する男に質問した。
「なんだ?」
「僕達が掘らされているあの現場って、一体何が出てくるんですか?」
「あー、あれか。
知らないのか。」
「はい。
全く。」
「何も出てこないよ。」
「えっ!」
「まあ、いい。
お前だけに教えてやる。
これは誰にも言うなよ。」
「はい。」
「こんな話を聞いたことないか。
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