ハカイジ

フロイライン

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未来の話

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夫の刑期を短縮する事が出来ず、絶望感に打ちひしがれた愛果は、肩を落として施設を出てきた。


「ご苦労様でした。

ご自宅までお送りする様に会長から言われております。

さあ、どうぞ。」


黒のスーツ姿の男が玄関の前に停めてある車を指差して言った。


この施設は田舎で、周りに何もなく、当然公共の交通機関もない。
来るときも迎えの者に連れてきてもらった。

愛果は、不本意ではあったが、厚意に甘える事にし、後部座席に乗り込んだ。


男は、愛果がシートベルトをするのをルームミラーで見届けると、エンジンをかけ、ゆっくりと車を発進させた。


「二時間ほどかかりますので、よかったら寝てて下さい。」


「大丈夫です…」


そんな会話が交わされたが、すぐに沈黙し、静かに時は過ぎていった。

愛果は、車窓から見える景色をボーッと見つめていたが、ふと、何かを思い出した様に、運転する男の方に視線を向け、話しかけた。


「あの、すいません。

少し話してもいいですか?」


「どうぞ。
なんでしょう?」


「あの、私の夫のレンの事なんですけど…」


「はい。」


「これから一体どうなってしまうんでしょうか。」


「私も詳しくは知りませんが、さっきあなたが訪れていた施設の中で二十年以上拘束されると聞いています。」


「さっき、刑期を短くしてやると言われて指示をされたんですが、上手くいかず、何も変わらないまま私は出されてしまいました。

もうチャンスはないんですか?」


「いえ、そんな事はないと思いますよ。

まだまだチャンスはあります。

こうしてあなたが呼ばれたってことは、あなたのご主人は、会長から相当気に入られてるってことです。
次の機会を待ちましょう。」


男は淡々とした口調ではあったが、随所に優しさが垣間見えた。
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