ハカイジ

秘密の花園

愛果は、翌日
道下にもらったメモを頼りに、書かれた住所のところまで辿り着いた。


「あっ…」


そこは、小さなバーだった。


バーの名前は「慈愛夢」


（コレって、レンが借金してる会社の名前？）


それだけで、ここに和人がいるに違いないっていう確信が持てた。


しかし、店は閉まっていて誰もいないようだ。


時間はまだ午後二時すぎ

バーなら、こんなに早くは出勤してこないか…


愛果は、早く来てしまった事を後悔し、帰ろうかと思ったが、家から二時間近くもかかっており、出直すのもちょっとキツいと感じていた。


どこかで時間を潰そうかと思ったが、飲み屋ばかりで、喫茶店的な店は近くに全くない。


どうしようかと、店の前で立ち尽くしていると


「慈愛夢さんに御用ですか？」


と、後ろから声をかけられた。


「えっ、あっ

はい」


急に声をかけられ、ビクッとしてしまい、動揺の色が隠せない愛果は、ぎこちない返事をし、後ろを振り返った。


背後には、よく太った中年女性が立っていた。


「ママだったら、多分三時頃に来るはずだけどねえ。

お友達？」


「えっと、そういう感じじゃないんですけど、少しお話をお聞きしたくて。」



「あら、そうなの。


ねえ、よかったらウチの店で待つ？

隣の、ココ

この店がワタシの」　



「いえ、どこかで時間潰してきますので…」



「遠慮はいらないわ。

あなた美人だから。

ワタシ、美人が大好きなの。」


女性は、ニコッと笑って強引に店に愛果を案内した。