ハカイジ

あるがままの心で

「夢か…」


愛果は、明け方に目を覚まし、ベッドから起き上がった。

悪い夢を見たからか、汗でびっしょりになっていた。


思えば、ほんの数時間前に、安田という悪人の目の前で裸を晒し、元夫のレンとセックスをしていたのだ。

悪夢を見るのも無理もない…


愛果は、自嘲気味に笑った。


枕元の携帯を手に取り、時間を見るとまだ午前四時前だった。


「もう少し寝とかないと…」


愛果は、独り言を呟くと、携帯を元の場所に置いた…


しかし、置いた携帯の隣に置いてあった紙を手に取ると起き上がり、電気をつけた。


その紙は、さっきまでいた道下が置いていった桑原和人の住所が書かれたものだった。

安田の趣味を拗らせたのも、今ある施設を作るきっかけになったのも、全てこの桑原和人が原因だと聞いた。

この流れの原点は、全部桑原和人にあると。


彼に会い、話を聞いてみたい…


そして、道下が言ったように、夫を連れ戻す何らかのヒントを得たい。

愛果は、俄然やる気を出したのだった。

道下は帰る前にこう言った。

「何度も言いますが、桑原和人は本当に美しい人間でした。

あの施設で働いていて、続々と連れてこられた人間を見ましたが、桑原和人に匹敵する美貌を持った者は皆無でした。

あなたのご主人が来るまでは。」


と…