ハカイジ

その理由

「これはあくまでもワシの趣味の話でな。

美しい男を連れてきて、それが少しずつ女になっていく過程を見ていくのが好きなんだ。

和人

お前もそうだった。

ここに来たときから美しい青年だった。」


「…」



「だが、お前はワシの想像している以上に成長が早く、また、女性化のスピードも尋常ではなかった。

今のお前は、もうこれ以上はないというくらいに美しく、頂点にいると言っても過言ではないだろう。

贅沢な言い方かもしれんが、成長過程を楽しむという意味では、お前にはもう伸びしろがない。」


安田は、和人を解放する理由を述べた。
和人がそれに反応できないでいると、続けて話した。


「しかし、お前が嫌いになったわけじゃない。

依然として、お前はワシの一番のお気に入りだ。

だから、お前の気持ちに応えたい

そう思っての解放だ。」



「ありがとうございます…

でも、ワタシは…外に出てもどうやって生きていったらいいのか…」



「そう言うだろうと思った。


和人、お前に店をやる。

バーだ。」


「バー？」


「ああ。

お前はそのバーの経営をして生計を立てろ。」


「えっ
でも、ワタシはそういうお店の事を全然…」


「ウチの系列の店から人を差し向けてやる。
しっかり聞いて勉強しろ。」


「ありがとうございます…」


和人は、戸惑いながらも、安田の心遣いに感謝の言葉を述べた。