ハカイジ

リスクとベネフィット

「ワシが和人を解放したのは何故かわかるか？」


話好きなのか、安田は、レンを抱かず、トークを続けていた。



「いえ、わからないです。」



「フッ…

これは和人本人にも言った事だが、ワシの個人的な趣味の話だ。

まあ、この施設も趣味が高じて出来たものだが、単に綺麗な男を集めて女性化させるのが目的ではないんだよ。」



「どういうことでしょうか。」



「ワシが求めているのは、その成長過程を見る事なんだ。

つまり、フツーの男としてやってきたお前のような人間が、徐々に女性化していく


そういう姿を見るのが一番の楽しみなんだ。

だから、もう完璧な女性のような姿になった者には、関心が薄れてしまうのだよ。

そう、和人のようなパーフェクトな変身をしてしまう者にはな。」



「それで解放されたんですか？」



「ああ。

和人は、完璧すぎるくらいの変身を遂げたからな。
だから解放してやった。

今までの功績にも報いてやりたかったしな。」


「…」



「レン

お前は、和人以来の逸材だ。

だから、お前にはこれからもチャンスをやる。

嫁もまた呼んでやるから。

そのチャンスを手にすることができれば、お前は晴れて自由の身だ。

ワシは、悪人だが、約束は絶対に守る事を信条としている。

だから、こちらが与えた課題をクリア出来たなら、必ずここから出してやる。

いいな？」


「でも、それでは会長にはメリットがないんじゃ…」


「あるさ。

お前が苦しみ、絶望し、女性化に拍車がかかるところを見られるという楽しみがある。

それには多少のリスクは覚悟しておかないとな。」


安田は、ニヤッと笑ってそう語った。