ハカイジ

フロイライン

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慈愛夢

「会長、わざわざこんなところまで足を運んでいただき、恐縮しております。」


「何を言っている?

ここは私の肝いりで作った施設だよ。
この目で確かめんでどうする?」


慈愛夢グループ会長の安田 宝顕は、案内役の施設の人間に不機嫌そうに言った。

安田は、今年五十五歳で、一代にしてこの慈愛夢グループを築き上げ、ここまでの巨大な組織にした。

パチンコ、サラ金などの事業展開を主体とし、昨今のパチンコ不況をも乗り越え、カジノを含めた統合型リゾート施設(IR)構想にも食い込んでいる。


そんな、安田の趣味は、この施設を訪れる事だった。

安田が自身の趣味で、郊外に建てた施設で、外からはわからないが、広大な地下が存在する。

その地下の通路を歩きながら左右をみる安田だったが、ふと、立ち止まり、案内役の男に質問した。


「あれは?」


「半年前に来た者です。」



「ほう。

名前は?」


「平野 蓮といいます。」


「レンか…

いい名前だ。

今、体の状態はどうなっている?」


「はい。

女性ホルモンの投与と去勢手術を受けさせておりまして、数値は全て順調に推移しております。」 


「なるほどな。」


安田は、ドアの窓から中を覗き込みながら呟いた。


「今日は、四則演算はあるのか。」


「あ、いえ、予定はしておりませんでしたが…」


「さっきの平野レンのが見たいんだが、連れてきてくれるか。」

「わかりました。
他の人間は?」

「そうだな。
多い方が面白いだろ?」


「はい。
それでは、すぐに準備致します。」


男は深々と頭を下げ、その場から去っていった。
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