スティーブジョーブツ

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「えっと、もう一度聞くんだけど、プロ志望なんですか？」


「はい、そうです。」


「ウチは勿論ライセンス取って、プロの道に進むコースもあれば、ボクササイズっていって、健康を第一に考えたコースもあるんですよ。」


「知っています。

ですから、プロ養成コースでお願いします。」


「あの、申し訳ないんたけど、ウチは本格的なボクシングジムでね。

プロも所属しているし

過去には世界ランカーもいたようなジムなんだよ。

生半可な覚悟の人間に務まるものじゃないんだ。」

ジムの会長である、木村泰造は、このしつこくひ弱な青年に、少し怒り口調になり、翻意を促した。


しかし、青年は折れず、プロ志望の養成コースを申し込み、帰っていった。



「会長、何すか？

アレ」


やり取りをサンドバックを叩きながら見つめていた剣崎晃が、呆れた様子で言った。


「どうしてもプロになりたいって聞かないもんだからな。
根負けしちまったよ、最後には。」


「いいじゃないっすか。

通い出したら、俺がプロが何たるものなのかっていうのを教え込んでやりますよ。

否応なしにね。」


「おいおい、日本ランカーのお前が下手な事をしたら死んじまうぞ。

まあ、あんなひ弱なプロ志望者なんて、見た事がないけどな。」


木村はウンザリしたような表情で剣崎に言った。