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こういう慰めかたのほうががよかった?
04
しおりを挟む「これそんなに大事な試験なの?」
「……そういうわけじゃないけど……」
がんばろうと決めたのはつい数時間前だ。大事だけど、それほど重要ではない。
「じゃあなんでこんなに頑張ってんの?」
「……元カレが」
「え?」
「元カレに、勉強に集中したいからって振られたんだけど、今度の試験負けたくなくて……」
どうしてか雪哉にはなんでも正直に話してしまう。でも雪哉は黙り込んでしまった。さすがに呆れられてしまったか。
「ふ、不純かな?」
「……そいつのこと、まだ好きなの?」
「え?」
雪哉の目は真剣に梓を見つめる。
そんな反応をされるとは思っていなかったので、まるで責められているようで、梓は困惑した。
「好きっていうか……なんていうか」
自分でもわからない感情だ。
ただ、悔しいという気持ちが梓を突き動かした。
私を振った人に、負けたくない。
「未練あるんだ」
ぽつりと雪哉がつぶやいた次の瞬間、肩を掴まれる。
「ひゃっ!」
押されるまま体勢を維持することができずに、床に押し倒される。上からは雪哉が覆いかぶさってきた。
「ゆ、雪哉くん、何?」
「…………別に」
表情も声のトーンも変わらないのに、なんとなく怒っている気がする。
「じゃあ……あの、どいてよ」
「やだ」
「なんで?」
「……なんとなく。やだ?」
「嫌とかじゃなくて……っ」
雪哉が顔を近づけてきて、梓の額に額をこつんとぶつける。
この距離は、ソファでキスをしたことが鮮明に思い起こされてしまう。心臓がうるさいほど鳴り響いて、呼吸が浅くなる。
「ま、待っ――」
雪哉の息がかかるほど、距離が近い。じっと梓の目を見つめながら、近づいてくる。
頭の中でなぜかカウントしていた。
3、
2、
1。
唇がふれる。
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