「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶

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1話

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 ラピス魔法学校の入学式、一際目立つ生徒が居た。
 白の長髪を風になびかせるその彼女の姿に誰もが魅了されていた。
 彼女は眼鏡で隠れたサファイア色の瞳で校舎を見る。

「ここが、私の学び舎…」

 彼女、サリナは息を1つ飲み込む。
 サリナには目標があった。
 それは産まれて15年間育ててくれた母親、カナリアの解呪だ。
 昔から包帯を巻き、肌を隠しているカナリアの姿はいつ見てもつらそうに見えた。
 そんな姿を幼少から見ていたサリナはどうしても何とかしたくて、幼い頃から年齢不相応の専門的本ばかり読み漁ったのだ。
 深夜まで調べた結果、彼女は眼鏡が無いと何も見えない体質へとなってしまったが。

「よし、やるぞ…っ!」

 サリナは気合を入れ直し、校門をくぐる。


「今年も多くの者が入学してきたみたいだね。クロイツ公爵」
「陛下!陛下自ら顔を出されるとは!」
「何、3番目の息子が入学するものでね」

 入学式の魔力測定の離れた場所でロナルド・クロイツと国王ロバート・エーデルスが話していた。

「3番目の……アルト殿下ですよね?さぞ腕の立つ青年でしょうね」
「いや、あいつは魔術の腕は確かだが他がからきしでな。王位にも興味を持たないときた」
「あぁ…」

 幼い頃何度か顔合わせしたことがあるロナルドはどんな人物像が思い出し苦笑いする。

「しかし、今は500居る生徒も卒業する頃には半数になるのが常。実力主義の校訓を持つこの学校で王族だからと胡座をかくようであれば倅とて容赦はせんよ」
「はは…」
(子供か…)

 ロナルドは視線を新入生の方へ向ける。
 彼には子供も妻も居なかった。
 いや、妻にしたいと思った女性は居た。
 しかし、16年前突如姿を消したのだ。
 残されたのは魔法省への辞表と自身との交際解消の文だけだった。
 それからというもの彼は時間が許す限り彼女を探し続けた。
 途中家督を継ぐために見合いをさせられたが、彼には不愉快で、すぐさま破棄したほどだ。
 家督は「結婚したい相手としか結婚しない」とゴリ押して未婚のまま継いだのだ。

(もし、カナリアが姿を消さずにいれば、今頃息子か娘はこの入学式に参加しているのだろうか…)

 などと考えていたロナルドにその声は届いた。

「サリナ・スタインベック!」
「はい!」
(サリナ……スタインベック?)

 スタインベック。それはカナリアの家名だ。
 エーデルス王国では珍しい家名のため、よく覚えていた。
 ロナルドはその名を持つ少女を見て息を呑んだ。
 あまりにも似ていたのだ、カナリアに。
 白の長髪も顔立ちもよく似ていた。
 眼鏡をかけているが、横目からロナルドと同じサファイア色の瞳が見え隠れしていた。

(まさか……)

 ある憶測を持った彼はジッとサリナを見つめていると、彼女の魔力測定が終わっており周りがざわめいていた。

「おぉ!無属性の魔力量Aとは!これまた珍しい!」

 ロバートは何処か嬉しそうな声を上げる。
 しかし、ロナルドは真剣な顔のまま「おい」と自身の従者に声をかける。

「あのサリナ・スタインベックの素性を調べろ。大至急だ」
「かしこまりました」

 従者はソッと姿を消す。
 ロナルドの視線は変わらずサリナを向いていた。
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