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「スタインベック…耕すな」
「耕かしたくてしてる訳じゃないの!!」
その日の夕方、サリナは飛行術の居残り練習をしていた。
サリナは運動着に身を纏い箒に跨っていたが、その足は地面に着いたまま箒だけ浮いている状態だ。
地面は数センチ進んだのか、靴の跡がガッツリ着いていた。
側に居たアルトは呆れ顔でため息をつく。
「平民クラスの首席が、飛行術が苦手だとは思わなかった…」
「昔のトラウマのせいだから!!」
サリナは幼い頃を思い出す。
幼い頃、禁断の森で過ごしていた頃、サリナは木登りが得意だった。
どんな高い木でもスイスイ登ってしまう為、祖父と母親はよく注意するほどに彼女は木登りに熱中していた。
そんな彼女は一度木から落ちたことがある。
その木には魔物の巣があり、親鳥が雛鳥を守る為にサリナに攻撃したのだ。
その際、サリナは手を離してしまい木から落ちたのだが、その時には幸いにも母親が受け止めたおかげで事なきを得たのだ。
その日以来、サリナは高い所が苦手になってしまったのだ。
「ったく、このままでは日が暮れてしまう…」
「申し訳ない…」
「仕方がない。スタインベック、箒を貸せ」
「え、あ、はい」
サリナは跨っていた箒から降りてアルトに箒を渡す。
アルトはそれを受け取ると素早く跨り、数センチだけ浮く。
サリナと異なり、身体も箒も浮いていた。
「後ろに乗れ」
「え」
「感覚さえ掴めばいい話だ。なら、こうするのが手っ取り早い」
「え、えぇ…」
サリナは躊躇していた。
そんな彼女を見て痺れを切らしたアルトは、サリナの腕を掴み引き寄せる。
「ほら、早く」
「うわっと!?」
サリナはされるがままアルトの後ろに跨った。
「行くぞ!」
「え、ちょ、ま、きゃぁぁぁ!!」
アルトの声と同時に箒は宙に舞う。
サリナはアルトの腰にガッシリ捕まり、顔を背中に埋めた。
風が容赦なく肌をくすぐり、浮遊感に襲われる。
サリナは怖くなり腕に込める力がより強くなる。
「スタインベック。見てみろ」
「うぇ?」
アルトの声で埋めていた顔をゆっくり上げる。
そこには美しい夕日があった。
夕日は雲を照らしており、幻想的な風景を醸し出していた。
「綺麗…」
「陸に足をつけてばかりでは見れないものだろ?綺麗だろ、スタインベック」
サリナはいつの間にか恐怖心を失い、夕日の美しさに心奪われていた。
(そういえば、アルトの背中って意外と大きいな…)
心に余裕が出たサリナは、小柄ながらもガッシリとしているアルトの背中に視線を落としていた。
「アルト。今気づいたんだけど、婚約者相手に家名呼びはどうかと思う」
「うぐっ!」
「私はサリナって言う立派な名前があるんだから、しっかり呼んでよ」
「ぜ、善処する…」
「それ、出来ない人の言い訳じゃない?」
陸に足をつけた2人はゆっくり箒から降りる。
「アルト、ありがとう。少し感覚掴めたかも」
「そうか、なら良かっ…」
「アルト殿下~♡」
「げ」
「あ」
甘ったるい声、フェリシアが走ってきて、アルトに抱きつく。
アルトは横から来る衝撃でバランスを崩しかける。
「ローゼン…っ!」
「先ほどの飛行、素晴らしかったです~♡今度は私も乗せてくださいませ~!」
「断る!僕が乗せるのは…」
アルトはフェリシアから離れるとサリナの肩を抱き寄せる。
「スタイン…いや、サ、サリナだけだ」
「んなっ!」
「おぉ…」
サリナは小さく感心の声を上げる。
先ほど注意した点を改善しようとする光景に、サリナはアルトを見直した。
ドキドキ
(ん?)
サリナは妙に自身の心音を感じ、違和感を持つ。
「どうかしたのか?」
「あ、いや、何でもないよ」
いつしかフェリシアは姿を消していて、アルトは反応が薄いサリナを心配した。
「さっきのいい感じだけど、もう少しスマートに言えるようになろうね」
「…努力はする」
苦虫を潰したような顔をするアルトを夕日が照らす。
自身の頬が赤いのも、夕日のせいだとサリナは思った。
「耕かしたくてしてる訳じゃないの!!」
その日の夕方、サリナは飛行術の居残り練習をしていた。
サリナは運動着に身を纏い箒に跨っていたが、その足は地面に着いたまま箒だけ浮いている状態だ。
地面は数センチ進んだのか、靴の跡がガッツリ着いていた。
側に居たアルトは呆れ顔でため息をつく。
「平民クラスの首席が、飛行術が苦手だとは思わなかった…」
「昔のトラウマのせいだから!!」
サリナは幼い頃を思い出す。
幼い頃、禁断の森で過ごしていた頃、サリナは木登りが得意だった。
どんな高い木でもスイスイ登ってしまう為、祖父と母親はよく注意するほどに彼女は木登りに熱中していた。
そんな彼女は一度木から落ちたことがある。
その木には魔物の巣があり、親鳥が雛鳥を守る為にサリナに攻撃したのだ。
その際、サリナは手を離してしまい木から落ちたのだが、その時には幸いにも母親が受け止めたおかげで事なきを得たのだ。
その日以来、サリナは高い所が苦手になってしまったのだ。
「ったく、このままでは日が暮れてしまう…」
「申し訳ない…」
「仕方がない。スタインベック、箒を貸せ」
「え、あ、はい」
サリナは跨っていた箒から降りてアルトに箒を渡す。
アルトはそれを受け取ると素早く跨り、数センチだけ浮く。
サリナと異なり、身体も箒も浮いていた。
「後ろに乗れ」
「え」
「感覚さえ掴めばいい話だ。なら、こうするのが手っ取り早い」
「え、えぇ…」
サリナは躊躇していた。
そんな彼女を見て痺れを切らしたアルトは、サリナの腕を掴み引き寄せる。
「ほら、早く」
「うわっと!?」
サリナはされるがままアルトの後ろに跨った。
「行くぞ!」
「え、ちょ、ま、きゃぁぁぁ!!」
アルトの声と同時に箒は宙に舞う。
サリナはアルトの腰にガッシリ捕まり、顔を背中に埋めた。
風が容赦なく肌をくすぐり、浮遊感に襲われる。
サリナは怖くなり腕に込める力がより強くなる。
「スタインベック。見てみろ」
「うぇ?」
アルトの声で埋めていた顔をゆっくり上げる。
そこには美しい夕日があった。
夕日は雲を照らしており、幻想的な風景を醸し出していた。
「綺麗…」
「陸に足をつけてばかりでは見れないものだろ?綺麗だろ、スタインベック」
サリナはいつの間にか恐怖心を失い、夕日の美しさに心奪われていた。
(そういえば、アルトの背中って意外と大きいな…)
心に余裕が出たサリナは、小柄ながらもガッシリとしているアルトの背中に視線を落としていた。
「アルト。今気づいたんだけど、婚約者相手に家名呼びはどうかと思う」
「うぐっ!」
「私はサリナって言う立派な名前があるんだから、しっかり呼んでよ」
「ぜ、善処する…」
「それ、出来ない人の言い訳じゃない?」
陸に足をつけた2人はゆっくり箒から降りる。
「アルト、ありがとう。少し感覚掴めたかも」
「そうか、なら良かっ…」
「アルト殿下~♡」
「げ」
「あ」
甘ったるい声、フェリシアが走ってきて、アルトに抱きつく。
アルトは横から来る衝撃でバランスを崩しかける。
「ローゼン…っ!」
「先ほどの飛行、素晴らしかったです~♡今度は私も乗せてくださいませ~!」
「断る!僕が乗せるのは…」
アルトはフェリシアから離れるとサリナの肩を抱き寄せる。
「スタイン…いや、サ、サリナだけだ」
「んなっ!」
「おぉ…」
サリナは小さく感心の声を上げる。
先ほど注意した点を改善しようとする光景に、サリナはアルトを見直した。
ドキドキ
(ん?)
サリナは妙に自身の心音を感じ、違和感を持つ。
「どうかしたのか?」
「あ、いや、何でもないよ」
いつしかフェリシアは姿を消していて、アルトは反応が薄いサリナを心配した。
「さっきのいい感じだけど、もう少しスマートに言えるようになろうね」
「…努力はする」
苦虫を潰したような顔をするアルトを夕日が照らす。
自身の頬が赤いのも、夕日のせいだとサリナは思った。
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