「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶

文字の大きさ
17 / 28
1話

17

しおりを挟む
「ん?なんの音だ?」
「今の音…」

 アルトは疑問に思っているが、涙が引っ込んだサリナは何か確信がついた様にハッとする。
 サリナはアルトを突き放すと、直ぐ様鏡の前に立つ。
 すると、上の服を脱ぎ、タンクトップと包帯だけの姿になる。
 そして、スルスルと手慣れた手つきで包帯を解く。
 そこには蛇の鱗があったが、サリナはその部分を擦る。

 ポロッ

 鱗は乾いた土のように、ポロポロ剥がれていく。
 その下にあった肌は何事もなかったかのように、きめ細やかなものだった。

「…ろ」
「ん?」
「今すぐ服を着ろサリナ!!お前は痴女か!!?」
「あ、ごめん…」

 サリナの頭には、男のアルトが部屋にいることがすっかり抜けていたのだった。
 アルトは顔を耳まで真っ赤にしており、手で顔を覆っていた。



「つまり、お前は正体不明の呪いにかかっていて、それを隠すために自主退学しようと?」
「うん、そんなところです、はい」

 サリナは先ほどの騒動の後すぐに、脱いだ服を纏うとアルトに事の発端を話した。

「しかし、妙なモノだな…。見たことのない呪いだ」

 アルトはサリナの腕のまだ剥がれていない蛇の鱗を、マジマジ見る。
 腕の鱗も少し触れればポロッと取れてしまうため、念のためアルトは触れずにいた。

「何か恨まれるようなことしたのか?」
「してない、してない!身に覚えがない!」
「どうだか。お前の事だ、何人か投げているだろう」
「私を何だと思ってるの?」

 軽口を叩き合う2人。
 するとサリナはふと真剣な表情になる。

「軽蔑しないの?」
「軽蔑?何故だ」
「だって呪われてて、気持ち悪いだろうし…」

 そう言うとアルトはため息をつく。

「そんな事か」
「そんな事って、私は真面目に…!」
「何度でも言うぞ。お前は僕の友人…、いや、違うな」
「?」
「何と言えば良いんだろうか。僕はお前には笑っていて欲しいし、泣いて欲しくない…。この感情に名前をつけるとするなら…」

 アルトは手を胸に当て、ゆっくりサリナを見る。

「…あぁ、そういう事か」
「な、何が?」
「僕は、お前を愛してるんだ。友人としても、一人の人間としても」
「…………へぇ!?」
「だから、軽蔑なんてするものか」

 突然の発言に、サリナは困惑する。
 そんなサリナにお構いなしに、アルトは彼女の手を取る。

「アルト…?一体何を?」
「お前は恋愛がしたいんだったな?僕は対象ではないかもしれない。だが、絶対に振り向かせてみせるからな、覚悟しろよサリナ」
「あぅ…!」

 アルトは手に取ったサリナの手の甲に口をつける。
 するとサリナの顔は徐々に赤くなり、彼女は手に取られた方とは逆の手で顔を覆う。

「もう………だから……」
「?」
「だから…もう、対象、だから……」
「え、つまり…」
「~ッ!だから!私も好きだって言ってるの!!」
「え!?い、いつから!?」
「いつ…いつだろう……自覚したのは、ついさっきだし…」

 サリナは顔を真っ赤にして目を白黒させる。
 そんな彼女を見たアルトはなんとも言えない、と言いたげな笑みを浮かべると、サリナに抱きつく。

「ちょ…!」
「そうか、お前も、そうなのか…そうか、そうか……」

 噛み締めるように連呼するアルトを見て、サリナは何も言えなくなり抱きしめ返す。

「これからは……恋人、同士というわけで…」
「あぁ。改めてよろしく」

 2人は少し離れると顔を見合わせ、ゆっくりと顔を近づけ、影は1つになる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

余命3ヶ月と言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のセイラは、ずっと孤独の中生きてきた。自分に興味のない父や婚約者で王太子のロイド。 特に王宮での居場所はなく、教育係には嫌味を言われ、王宮使用人たちからは、心無い噂を流される始末。さらに婚約者のロイドの傍には、美しくて人当たりの良い侯爵令嬢のミーアがいた。 ロイドを愛していたセイラは、辛くて苦しくて、胸が張り裂けそうになるのを必死に耐えていたのだ。 毎日息苦しい生活を強いられているせいか、最近ずっと調子が悪い。でもそれはきっと、気のせいだろう、そう思っていたセイラだが、ある日吐血してしまう。 診察の結果、母と同じ不治の病に掛かっており、余命3ヶ月と宣言されてしまったのだ。 もう残りわずかしか生きられないのなら、愛するロイドを解放してあげよう。そして自分は、屋敷でひっそりと最期を迎えよう。そう考えていたセイラ。 一方セイラが余命宣告を受けた事を知ったロイドは… ※両想いなのにすれ違っていた2人が、幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いいたします。 他サイトでも同時投稿中です。

愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。 人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。 それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。 嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。 二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。 するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。

ねーさん
恋愛
 あ、私、悪役令嬢だ。  クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。  気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…

【完結】妹ばかり愛され追い出された姉ですが、無口な夫と暮らす日々が幸せすぎます

コトミ
恋愛
 セラフィナは、実の親と、妹によって、家から追い出されることとなった。セラフィナがまだ幼い頃、両親は病弱なカタリナのため設備環境が良い王都に移り住んだ。姉のセラフィナは元々両親とともに住んでいた田舎に使用人のマーサの二人きりで暮らすこととなった。お金のない子爵家な上にカタリナのためお金を稼がなくてはならないため、子供二人を王都で暮らすには無理があるとセラフィナだけ残されたのだ。そしてセラフィナが19歳の時、3人が家へ戻ってきた。その理由はカタリナの婚約が上手くいかず王宮にいずらくなったためだ。やっと家族で暮らせると心待ちにしていたセラフィナは帰宅した父に思いがけないことを告げられる。 「お前はジェラール・モンフォール伯爵と結婚することになった。すぐに荷物をまとめるんだ。一週間後には結婚式だ」  困惑するセラフィナに対して、冷酷にも時間は進み続け、結婚生活が始まる。

処理中です...