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番外編
フェリシア・ローゼンSide
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フェリシア・ローゼンは憤りのあまり自室で吐きそうになっていた。
窓から覗く視線の先には、先日正式に婚約したサリナとアルトが仲睦まじく過ごしている姿があった。
「何であんたなのよ、何で私じゃないのよ…!私はヒロインなのに…ッ!」
フェリシア・ローゼンは転生者である。
しかし、それを思い出した彼女は違和感を感じていた。
あれ?私の知っている「ドギマギ」じゃない、と。
前世の記憶を頼りに情報をまとめた彼女が最初に違和感を持ったのは家族構成だった。
ゲームではフェリシア1人しかローゼン家の子供はいない。
しかし、今世では義理の姉が存在していた。
なんでも、父親が庶民と浮気してできた子供だそうで、何かと仲は悪かった。
ゲームではそんな描写は一切なく、家族3人で暮らしていたが母・アビゲイルはフェリシアが入学した数カ月後に謎の死を遂げた。
これもまたゲームに無かった出来事だ。
そして、義姉は第一王子アルバートと結ばれ、アルバートは廃嫡となる。
(いや、それは第三王子のアルトがなることでしょ!)
フェリシアは内心ツッコミを入れた。
彼女の記憶では攻略対象のアルトは自身の婚約に嫌気が差しており、その矢先に出会ったフェリシアと恋に落ち、王命に背いて廃嫡になりフェリシアと共に平民になる。
これがアルトルートのハッピーエンドだった。
しかし、蓋を開けてみれば廃嫡になったのは第一王子、しかも元凶は義姉。
記憶がゴチャゴチャになりそうになっていた。
しかし、彼女の目的は初めから決まっていた。
それこそ、推しであるアルト・エーデルスとのハッピーエンドルートである。
所が、今世のアルトは婚約すらしておらず、悪役令嬢となる存在すら居なかったのだ。
このままいけば無駄な争いをせずハッピーエンドルートどころか第二王妃になれるのでは!?とフェリシアは思っていた。
サリナの存在がなければ。
サリナはフェリシアの記憶にある“クロイツ家の異端児”と呼ばれていた悪役令嬢と瓜二つの姿をしていた。
しかし、違いがあるとすれば長い髪をアップにしていなかったり、眼鏡をかけている所、あとは平民である事だろうか?
そして、何より名前が違った。
クロイツ家の異端児の名前は「サティリア・クロイツ」で、サリナの名前は「サリナ・スタインベック」だ。
これもまたフェリシアの脳内をかき乱す問題となった。
名前の違う、瓜二つの存在がいる。
そのことだけで困惑する彼女であったが、その頃になって「サリナはクロイツ家の庶子」という事を耳にしたのであった。
時が流れ、「サリナとアルトが婚約した」という噂が広まった時、フェリシアはチャンスだと思った。
きっと嫌気が差してるに違いないアルトに接近したのだ。
しかし。
「断る!僕が乗せるのは…。スタイン…いや、サ、サリナだけだ」
こともあろうか、アルトはサリナとの婚約に前向きのように見えた。
これでは意味がない。
そう思ったフェリシアはなんとか別れさせようと必死だった。
そんな時に、母が残した手帳を開いたのだ。
そこには想い人に関する“まじない”についてたくさん書かれていた。
その中にあるもので、フェリシアは“想い人の想いを試す”というものに目が惹かれる。
もし、アルトがサリナを本当に愛していなければ、きっとこのまじないは成功する。
そして、アルトを自分のモノに出来る。
そう思ったフェリシアは早速実行してみるのだった。
結果、サリナはある日を境に姿を見せなくなった。
それを知ったフェリシアは内心ほくそ笑んだ。
しかし、それも数日だけだった。
サリナが再び姿を現した時、2人の態度は不仲になったのでは?と噂されるほどよそよそしいものだった。
しかし、フェリシアは知っていた。
ゲームでアルトは交際にまで発展すると、態度がよそよそしくなる時期がある事を。
つまり、アルトとサリナは交際するに至ったのだ。
その証拠に、数カ月後には正式な婚約を交わしていた。
「何で!何で私じゃないのよ!!」
フェリシアは物に当たる。
その姿はとてもではないが乙女ゲームの主人公には見えなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ…うっ!?」
フェリシアは突然胸元を片手で押さえる。
もう片方の手で口元を覆うと激しく咳き込む。
「かはっ!ゲホッ!!ゲホッ!!!」
ペチャ…。
「…は?」
フェリシアの手には鮮血が付いていた。
「結局、私は誰に呪われたんだろう?」
クロイツ邸で領主の仕事の手伝いをしていたカナリアは不意に呟く。
「唐突だな。だが、同じ相手に呪われることは無いだろう」
「何で言い切れるの?」
「恐らく、相手は呪い返しで死んでいる」
「呪い返しって、確か呪った相手が呪解した反動みたいなやつだっけ?」
「そうだ。その反動は呪いの質や時間に左右されるが…。16年も呪ってたわけだ、死んでても不思議じゃない」
「けど結構強力なやつだったから、短時間でも反動は大きそう」
「吐血は確実だな」
「そういえば、最近ローゼンさん見ないね」
「いきなりあいつの名を出すな…」
サリナはふと、思い立ったかのように声を上げる。
すると、アルトは不機嫌そうな声で答える。
「あいつは自主退学したそうだ」
「え、そうなの?」
「何でも療養が必要との事だ」
「へ~…」
皮肉にも、呪った相手に心配され、自身に呪い返しが来てしまったフェリシア。
サリナは最後まで自身を呪った存在に気づかなかったのだった。
窓から覗く視線の先には、先日正式に婚約したサリナとアルトが仲睦まじく過ごしている姿があった。
「何であんたなのよ、何で私じゃないのよ…!私はヒロインなのに…ッ!」
フェリシア・ローゼンは転生者である。
しかし、それを思い出した彼女は違和感を感じていた。
あれ?私の知っている「ドギマギ」じゃない、と。
前世の記憶を頼りに情報をまとめた彼女が最初に違和感を持ったのは家族構成だった。
ゲームではフェリシア1人しかローゼン家の子供はいない。
しかし、今世では義理の姉が存在していた。
なんでも、父親が庶民と浮気してできた子供だそうで、何かと仲は悪かった。
ゲームではそんな描写は一切なく、家族3人で暮らしていたが母・アビゲイルはフェリシアが入学した数カ月後に謎の死を遂げた。
これもまたゲームに無かった出来事だ。
そして、義姉は第一王子アルバートと結ばれ、アルバートは廃嫡となる。
(いや、それは第三王子のアルトがなることでしょ!)
フェリシアは内心ツッコミを入れた。
彼女の記憶では攻略対象のアルトは自身の婚約に嫌気が差しており、その矢先に出会ったフェリシアと恋に落ち、王命に背いて廃嫡になりフェリシアと共に平民になる。
これがアルトルートのハッピーエンドだった。
しかし、蓋を開けてみれば廃嫡になったのは第一王子、しかも元凶は義姉。
記憶がゴチャゴチャになりそうになっていた。
しかし、彼女の目的は初めから決まっていた。
それこそ、推しであるアルト・エーデルスとのハッピーエンドルートである。
所が、今世のアルトは婚約すらしておらず、悪役令嬢となる存在すら居なかったのだ。
このままいけば無駄な争いをせずハッピーエンドルートどころか第二王妃になれるのでは!?とフェリシアは思っていた。
サリナの存在がなければ。
サリナはフェリシアの記憶にある“クロイツ家の異端児”と呼ばれていた悪役令嬢と瓜二つの姿をしていた。
しかし、違いがあるとすれば長い髪をアップにしていなかったり、眼鏡をかけている所、あとは平民である事だろうか?
そして、何より名前が違った。
クロイツ家の異端児の名前は「サティリア・クロイツ」で、サリナの名前は「サリナ・スタインベック」だ。
これもまたフェリシアの脳内をかき乱す問題となった。
名前の違う、瓜二つの存在がいる。
そのことだけで困惑する彼女であったが、その頃になって「サリナはクロイツ家の庶子」という事を耳にしたのであった。
時が流れ、「サリナとアルトが婚約した」という噂が広まった時、フェリシアはチャンスだと思った。
きっと嫌気が差してるに違いないアルトに接近したのだ。
しかし。
「断る!僕が乗せるのは…。スタイン…いや、サ、サリナだけだ」
こともあろうか、アルトはサリナとの婚約に前向きのように見えた。
これでは意味がない。
そう思ったフェリシアはなんとか別れさせようと必死だった。
そんな時に、母が残した手帳を開いたのだ。
そこには想い人に関する“まじない”についてたくさん書かれていた。
その中にあるもので、フェリシアは“想い人の想いを試す”というものに目が惹かれる。
もし、アルトがサリナを本当に愛していなければ、きっとこのまじないは成功する。
そして、アルトを自分のモノに出来る。
そう思ったフェリシアは早速実行してみるのだった。
結果、サリナはある日を境に姿を見せなくなった。
それを知ったフェリシアは内心ほくそ笑んだ。
しかし、それも数日だけだった。
サリナが再び姿を現した時、2人の態度は不仲になったのでは?と噂されるほどよそよそしいものだった。
しかし、フェリシアは知っていた。
ゲームでアルトは交際にまで発展すると、態度がよそよそしくなる時期がある事を。
つまり、アルトとサリナは交際するに至ったのだ。
その証拠に、数カ月後には正式な婚約を交わしていた。
「何で!何で私じゃないのよ!!」
フェリシアは物に当たる。
その姿はとてもではないが乙女ゲームの主人公には見えなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ…うっ!?」
フェリシアは突然胸元を片手で押さえる。
もう片方の手で口元を覆うと激しく咳き込む。
「かはっ!ゲホッ!!ゲホッ!!!」
ペチャ…。
「…は?」
フェリシアの手には鮮血が付いていた。
「結局、私は誰に呪われたんだろう?」
クロイツ邸で領主の仕事の手伝いをしていたカナリアは不意に呟く。
「唐突だな。だが、同じ相手に呪われることは無いだろう」
「何で言い切れるの?」
「恐らく、相手は呪い返しで死んでいる」
「呪い返しって、確か呪った相手が呪解した反動みたいなやつだっけ?」
「そうだ。その反動は呪いの質や時間に左右されるが…。16年も呪ってたわけだ、死んでても不思議じゃない」
「けど結構強力なやつだったから、短時間でも反動は大きそう」
「吐血は確実だな」
「そういえば、最近ローゼンさん見ないね」
「いきなりあいつの名を出すな…」
サリナはふと、思い立ったかのように声を上げる。
すると、アルトは不機嫌そうな声で答える。
「あいつは自主退学したそうだ」
「え、そうなの?」
「何でも療養が必要との事だ」
「へ~…」
皮肉にも、呪った相手に心配され、自身に呪い返しが来てしまったフェリシア。
サリナは最後まで自身を呪った存在に気づかなかったのだった。
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