『異界酒場 ルーナ』

みぎみみ

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第4巻

第25話 アメリアからの知らせ

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十一月。

アメリアが来た。

今夜は静かだった。

「大型動物での実験が、成功しました」

「それは——」

「意識の連続性も、完全に保たれています。転移後の動物に、認知の異常は見られない」

「すごいことですね」

「これで、人間への応用が理論上は可能になりました」

ルーカスは手が少し止まった。

「……次は」

「安全基準の確認と、王国の学術機関への報告と承認が必要です。それが半年から一年。その後、実際の人への適用の検討」

「つまり」

「早ければ——来年の夏か秋頃には、あなたが向こうへ行けるかもしれません」

来年の夏か秋。

「双方向は」

「一方向の承認が降りてから、同時に研究を進めます。少し時間がかかりますが——こちらも見えています」

ルーカスはグラスを置いた。

「……来年の夏か秋」

「まだ不確かです。でも、今まで何年かかるか分からなかったことが、今は『来年』と言える段階になった」

「アメリア、一つだけ言わせてください」

「どうぞ」

「この研究を続けてくれたことを、心から感謝しています」

アメリアは少し照れた顔をした。

「ルーカスさんの情報がなければ、できませんでした。お互い様です」

「お互い様ですが——ありがとうございます」

「向こうに行って、無事に戻ってきてください。それが一番の恩返しです」

「必ずそうします」

その夜、ルーカスは閉店後に一人で長い時間カウンターの前に座っていた。

来年、東京へ行けるかもしれない。

高橋夫妻に会える。礼奈に会える。梶原に会える。篠田先生に会える。晴樹に会える。

全員の顔が、今夜は特別にはっきり浮かんだ。

「待っていてください」

届かない声で言った。

でも、届くと信じた。

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