『異界酒場 ルーナ』

みぎみみ

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第6巻

第24話 二つのLUNAの夜

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十月。

ある夜。

ルーカスはアイデアを思いついた。

通信装置を使って、両世界のLUNAを繋ぐ夜を作れないか。

アメリアに相談した。

「できます」とアメリアが言った。

「映像は無理ですが、声は繋げます。音楽も届きます」

「梶原に弾いてもらえますか」

「聞いてみます」

高橋に連絡した。

「梶原に話してみます」

梶原は「やりたい」と即答した。

その夜。

ヴァルドのルーナの地下室に、通信装置を置いた。

常連たちが集まっていた。

ユーリ。アメリア。エルロ。カイン。セレナ。ドラニ夫妻。坂本。農民夫婦。

東京のLUNAと繋がった。

清子の声が聞こえた。

「繋がっています」

「繋がっています」とルーカスが言った。

「こちらは全員います。礼奈さんも、晴樹さんも、高橋も」

「こちらも全員います」

しばらく、両世界の空気が繋がっていた。

「梶原さん、弾いてもらえますか」

「弾きます」

東京から、バイオリンの音が届いた。

石造りの壁に、東京の音が響いた。

ユーリが目を閉じて聞いていた。

エルロが静かに聞いていた。

農民夫婦が、手を繋いで聞いていた。

東京では——ヴァルドの蜂蜜酒を試して届けた小瓶の味を飲みながら、常連たちが聞いていた。

音楽が終わった。

静けさがあった。

それから、両世界で拍手が聞こえた。

形は違う。音は遠い。でも、同じ夜に、同じ音楽を聴いた夜があった。

「今夜も、よかった」とルーカスが言った。

東京からも、「今夜も」と声が返ってきた。
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