初恋はおさななじみと

香夜みなと

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「んっ……」

 灯になぞられるとぬるりとしたものが出てきていることに自分でも気づいた。灯に触られるたびに下半身がもぞもぞともどかしくなっていたのはこのせいだったのかと回らない頭で理解する。

「全然問題なさそうだね?」

 くすっと笑われた気がして明里はボッと顔が熱くなった。いやらしい子と思われたかな。でも灯と触れあっているとこうなってしまうのだから仕方がない。

「んっ……」

 灯の指が入ってくる。久しぶりに感じるその違和感に少しだけ体が抵抗したけれど、あっさりと受け入れてしまった。

「大丈夫? 痛くない?」

「ん、大丈夫……」

 その言葉に灯がふっと微笑んで、額にキスをしてきた。それだけで安心できて抵抗していた体からまた力が抜けていく。本当に不思議だなと思う。灯に触れられるだけでこんなに熱くなって緊張して、嬉しくていろんな感情が順繰りに襲ってくる。それでも灯の一挙一動でこんなにも安心できる。明里の体は全部、灯によって支配されているような、そんな気がした。

「あ、いっ、そこ……ダメっ……」

「ここ? すごく締め付けてくる」

「だっ、もう、言わない、で……!」

 灯の指が明里の中の良いところを探る。ある一点を触られると明里の下腹部がきゅうとしまっていくのが自分でもわかった。灯の指に翻弄されながら必死でそれにあらがおうとするのに灯はやめてくれない。

「もっと可愛いところ見せて?」

「や、あぁっん!」

 ふいに耳元でささやかれると背筋がゾクゾクと何かが這い上がってくるような気がした。脳内に直接語りかけられるような灯の低い声がスイッチになったように、明里の全身が快感に包まれていく。

「だ、もう、あっ、っっ!」

 ぎゅうっとシーツを握りしめると下腹部がビクビクと動くのがわかった。自分でも驚くぐらいのその反応に、止めたくても止められなくてただ顔を枕に埋める。

「イっちゃったね……」

「やだぁ……もぅ……」

 締め付けていた灯の指が明里の中から抜けて行く。瞼をあげると目の前でさっきまで明里の中にはいていた指をぺろりと舐める灯がいた。

「な、やめてよ……!」

「なんで? とっても甘くて、おいしいのに」

「~~~変態!」

「あはは、僕は明里のことに関してはそうかもね。だって、二十年間ずっと好きだったんだよ? 明里の隅々まで僕のものにしたい」

 二十年間という間、灯のことを好きなのは明里も同じだ。できれば灯のすべてを自分のものにしたいと言うのも同じ気持ちだ。でもこんな風にされると恥ずかしくて、世の恋人たちはこんなことをしているのかと思うと、明日から町中を歩くのも恥ずかしくなりそうだ。

「明里の中に、入ってもいい?」

 そう尋ねてくる灯の瞳は興奮の色を隠せていなかった。熱を孕んだその瞳に明里はこくんと頷く。でも。

「その、今日は大丈夫そう?」

「大丈夫かどうかは明里が確かめて」

 そっと手を取られて導かれたのは灯の熱だった。初めて触る異性の熱に驚きながらも、その熱はしっかりと硬く誇張胃している。指先でなぞるとこの大きさのものが入ってくるということに改めて驚いてしまうが灯とならきっと大丈夫だと覚悟を決めた。

「そういう触り方されると、ヤバイかも」

 せっぱつまった灯の声に明里は小さく「大丈夫」と返事をした。

「はぁ、すっごい緊張するけど、今日は絶対最後までする、から」

「うん……」

 覚悟を決めたのは灯も同じだったようだ。ちゅっと短いキスをされると、灯が熱を明里の入り口にあてがった。その熱さだけで明里は火傷してしまうんじゃないかという錯覚にすら陥る。

「痛かったら、爪立ててもいいからね」

「ん……」

 額をこつんと合わせられて、至近距離で見つめ合う。ぐっと、灯の腰が押しつけられ、灯の熱が明里の中に入ってこようとする。

「いっ、んっ……」

 その質量に明里は思わず目を瞑って耐える。指とはちがうそれに、体が緊張してしまう。

「は、あ……明里、力、抜いて……」

「んぅ……」

 キスをされると少しだけ力が抜ける。少しずつ灯の熱が明里のなかに入っていく。

「あ、いたっ……」

「もうちょっと、だから……」

 明里自身も自分の中で何かが反発している感覚があった。ぎゅっと体に力が入る。灯の背中に回した手にぎゅっと力を入れるとふれ合った肌が密着する。

「いっ、あっ!」

 ぐっと灯が腰を強く突き入れた。その勢いで反発している何かは抵抗をやめて灯の熱を受け入れた。少しだけ腰がずきずきと痛む。これが破瓜の痛みなのかと思うと、痛いというよりも愛しさの方がこみ上げてくる。この痛みが灯に与えられたものだとしたらそれすらも嬉しい。

「全部入ったけど、痛い?」

「ん、ちょっとだけ……。でもだんだん痛くなくなってきたかも……」

「そっか。じゃあゆっくり、動くね」

「ん……」

 頭を撫でられると徐々にこわばっていた体の力が抜けていく。だんだん痛みよりも入っている物理的な苦しさの方を感じるようになってきた。

「あ……んっ……」

 ゆっくりと灯の腰が抜けてはまた打ちつけられる。中からせり上がってくる刺激がもぞもぞと自ら腰を動かしてしまう。

「気持ちよくなってきたって顔、してるよ」

「そ、んなの、わかんない、よ……」

「可愛いってこと」

 灯は体を離すと明里の手の平を握る。灯に見下ろされていると少しだけ不安になるけれど、見上げた灯の表情は今までにみたことないぐらい、艶やかでドキドキとしてしまう。汗で顔に張り付いた髪の毛も逞しくなったその体に浮かぶ汗も、自分と繋がっているからだと思うと余計に灯への好きがあふれ出してきた。

「灯……」

「ん?」

 名前を呼べば灯はそれを無視することなく、微笑みながら応えてくれる。

「大好き……」

「っ、」

 そう呟くと明里の中で灯の熱が大きくなったのがわかった。

「ちょ、灯!」

「いや、ここでそれ言うの、反則でしょ……可愛すぎ」

 灯の腕をぺしりと叩いたが灯はびくともしない。

「もうホント可愛すぎるから。これ以上可愛くならないでよ。ね?」

「う~~、可愛い可愛い言い過ぎだから!」

 あまり言われない言葉に明里は赤面する。今がセックスの最中だというのも忘れてしまうぐらいにこういう言い合いが楽しい。それは相手が灯だから。灯とならきっとどんなときもこうして冗談を言い合って笑える。

「ホントだよ。離れてる間、可愛くなっていくの見てて、焦った」

 またコツンと額を合わせられる。どちらのものともいえない汗が二人の肌の上を滑っていく。

「私も、離れてる間、灯のことが好きなんだって、思い知らされた」

 少し距離が開いて、また縮まって。灯のことばかり考えていた。それぐらいもう体の、心の一部になっている。

「この二年半間、僕たちにとっては必要な期間だったのかもね」

 その言葉に明里は、あぁ、と理解した。

 ずっと一緒にいると思っていた。そう思って育ってきたから、相手がいなくなることを想像したこともなかった。隣にいて当たり前だと思っていた。

 だから離れていた二年半間がお互いにとって必要な存在なのだと、改めて思わせてくれる期間だったのだと。灯はそう言いたいのだろう。

「そうかもしれないね。でも、きっと何回離れたって、私はずっと灯のことを好きでいると思うよ」

「それだったら、俺は生まれ変わっても明里のことずっと好きだって誓えるよ」

「なにそれ。来世も灯と一緒ってこと?」

「それぐらい好きだってこと。来世もその次も、もしかしたら前世だって明里のこと好きだったよ」

 そんなこと誰にもわからない。でも灯にそう言われたらそんな気がしてきて、明里はやっぱり自分には灯だけだと確信する。それぐらい明里にとって灯は大きな存在だ。

「じゃあ私は灯が記憶喪失になったって絶対好きでいるよ」

「それはないと思うなぁ。絶対明里のこと思い出すし、それにまず忘れないと思うから」

「むぅ……それじゃあ」

 どちらの方が好きかと言い合っていると灯の人差し指が明里の唇に触れた。

「ねぇ、そろそろおしゃべりはやめよっか?」

「え、あっ、んっ……」

 しびれを切らしたように灯の腰が動き出した。他愛もない話をしていたせいか、明里の体はちょうどよく力が抜けて、灯の熱の滑りをよくしていた。どちらのものとも言えない液が潤滑油として音を立てる。

「あっ、んっ……あぁ、」

「は、あぁ……」

 灯の熱が打ち付けられるたびに、奥に入ってくるような気がする。それがまた気持ちよくて明里は灯の首に腕を回した。

「と、もる……」

「んっ……」

 唇が合わさるとすべてが一つになったような気がして、お互いの体温が溶けていくような気がした。

「すっごい、からみついて、ヤバイ、かも」

「ん、あっ、やぁっ……」

 ずんと奥を突かれるたびに目の前がチカチカする。明里は必死で息を吸いながら、灯にしがみついた。せりあがってくる刺激の波に耐え切れそうにない。

「と、もる、も、ダメ……」

「うん、大丈夫、だから」

 腰を打ちつけるリズムが速くなった。明里は灯を抱きしめながらその波にのまれていくのを感じた。

「あ、はぁ、あっ、んっ、いっ、く」

「は、あぁ、僕も……」

「あっ、ん――!」

 明里は声を押し殺して全身を襲ってくる波に飲まれていった。びくりと腰が震えて、灯を締め付けているのがわかる。しばらくそのまま律動を続けていた灯も何度か腰を打ち付けるとそのまま、明里の中で果てた。

 じわりと下腹部に熱が広がっていくのがわかり、明里は浅く息を整える。

「あっつい……」

「はは、二人とも汗だく」

 額に張り付いた髪の毛を灯が避けてくれた。灯もいつものくせっ毛がずぶ濡れの犬みたいになっている。

二人で見つめ合っているとなんだかおかしくなってきて、簡単に汗を拭うと二人一緒にお風呂に入ったのだった。

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