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真・勇者パーティ結成編
第1話 勇者パーティ、カチョーをブチのめす
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「よっし、じゃあカチョーをブチのめそうぜ」
「シロウさん、せめて倒すとかにしましょうよ」
やあ。俺は狙撃手のキータ。退魔の宝具の一つである『ホーリーボゥ』の適合者で、王様の勅命を受けた、魔王を撃ち滅ぼさん為に旅をする金髪と涙ぼくろがトレードマークの冒険者だ。
そして、「カチョーをブチのめす」だなんて物騒な暴言を吐いた、くすんだ白い短髪と顔に大きな火傷痕の、異常に迫力あるガタイのいい彼がシロウさん。俺と同じく王様から宝具を授かった、『ホーリーセイバー』の適合者で、俺の所属するパーティのリーダー。つまり、世界の命運を両肩に背負った勇者という事だ。
適合者とは、退魔の宝具を操る事の出来る才能の持ち主の事。因みに、この世界には何人かの適合者がいる為、俺達は先代の適合者が死んで、たまたま次に選ばれた戦士だったというワケ。
「クロウ、アカネ。お前らは大丈夫か?」
「私は、大丈夫です」
「……クロウ?」
「聞こえている。問題ない」
今呼ばれた彼ら、赤いポニーテールと赤い目のアカネは『ホーリーランス』を、少々長い黒髪の、中性的な顔をしたクロウは『ホーリーロッド』を操る適合者で、同じの旅の仲間だ。
二人の声を聞いたシロウさんは頷いて鞘から剣を抜くと、「手筈通りに」と呟いてから先陣を切って、ここらの地域を支配する悪のボスが待つ部屋へと乗り込む。部屋の最奥には、身長8mはあろうかという巨体を持つ怪物、『デビルカチョー』の姿があった。
カチョーは、不敵な笑みを浮かべながらゆっくりと立ち上がった。口は赤く、血のように濡れている。筋骨はシロウさんのそれを遥かに越えていて、更に異常に長い尾を持っていた。
「くっくっく。待っていたぞ、勇者シロウ。よくぞここまで来ることが……」
「キータ、目ぇ狙え」
「分かりました」
カチョーの口上が終わる前に、僕は言われた通り目を狙って矢を放った。
「ぬっ!貴様ら、噂に違わぬ外道だな!いいだろう、相手にとって不足なし!」
言いながら、自身の目に放たれた矢を弾いてシロウさんを迎え撃とうと身構えたところで、シロウさんはホーリーセイバーをカチョーの翼目掛けて思い切り投げつけた。すると、矢に気を取られていたせいか、不意打ちの刃は見事に突き刺さり、カチョーはよろりと身を崩す。更に、彼は弾かれて跳ね返ってきた矢を空中で掴むと、奴の足のつま先に思い切り突き刺して、体を駆け上がり翼からホーリーセイバーを引き抜いた。
「アカネ!スイッチ!」
「はいっ!」
呼ばれ、アカネはホーリーランスを構えながら突進。そして、シロウさんの指示通りに、デビルカチョーの土手っ腹へ槍撃を打ち込んだ。
しかし、カチョーも負けじと反撃し、尻尾を伸ばしてアカネを翻弄すると、手足を三度斬り裂く。瞬間、シロウさんはアカネを守るようにカチョーの前に立ちはだかり、尻尾を掴んで動きを止めた。
「下がれ、アカネ。キータ!上から援護できるか!?」
「任せてくださいッ!」
言われた通り、俺はカチョーの腕を貫くように矢を放ち、シロウさんに向いたヘイトを分散。意識がこっちへ向いた瞬間に、アカネはクロウの元まで下がっていった。
このパーティは、タンクのシロウさん、アタッカーのアカネ、サポーターの俺と、ヒーラーのクロウで構成されている。
基本的な戦術は、シロウさんが敵の攻撃を受け流し、俺とクロウのバフを受けたアカネが火力を出すといったスタイルだ。
本来であれば、俺かクロウがオーダーをするべきなんだろうけど、それだとどうにも連携が取れない。故に、どんな状況に陥っても最善を選ぶ事が出来るシロウさんが、器用に両役をこなしているのだ。
「クロウ!シロウさんにヒールかけろよ!」
「お前が指図するな!アカネがダメージを受けてるんだ!」
「そこでヒールすんならポーションとかあるだろ!」
「うるさい!俺のスキルの方が早いだろうが!」
俺たちが言い合っている間にも、シロウさんはカチョーの猛攻を一人で凌いでいる。それを見て焦った俺は、シロウさんの指示無しに動いて、彼を助けに行こうとしたが。
「キータ、落ち着け。クールになるんだ。お前は、後ろから敵が来ねえように見てなきゃならねえ」
「……っ!はいッ!」
あぁ言われてしまえば、俺はここを動くわけにはいかない。焦燥感を堪えて、言われた通り援護射撃のみを放ち、見張りを続ける。
「スキル、ホワイトミラージュ」
シロウさんが唱えた瞬間、カチョーの拳が彼を貫いた。
「なにっ!?」
しかし、手応えはない。何故なら、そこに残っていたのは彼の幻影だったからだ。
スキルとは、レベルを1から5まで振り分けられた、異能の力の事だ。その用途は多岐に渡り、直接的な攻撃や防御、今のシロウさんのようにトリッキーなものまで様々だ。因みに、ホワイトミラージュはレベル2の初歩的なスキルだ。
瞬間、逆サイドから現れたシロウさんは、カチョーの腕を一刀両断。返り血を浴びながら剣を引いて下がったシロウさんだったが、カチョーはすぐに体を再生して、怒涛のラッシュを彼に見舞った。あれは、流石にヤバ過ぎる!
「シロウさん!」
「うぐっ……!カチョーの奴、生きる事にしがみつくような能力持ちやがって」
「いや、そんな生々しい事言ってる場合じゃないですよ!」
「焦るなって。クロウ、手が空いたならこっちにヒールかけてくれ」
口調こそ穏やかだが、シロウさんは血塗れで息も絶え絶えだった。
「仕方ない。スキル、ヘヴケア」
ヘビケアは、レベル5の高等スキルだ。瞬間ヒールスキルはレベル1からフラ、フェザ、ライ、ウェル、ヘヴの順で回復量に違いがある。俺も覚えているけど、唱えられるのは精々ライ程度だ。(段階のあるスキルは、この階級が適応されている)
「サンキュー。アカネ、そろそろ行けるか?」
「は、はい。でも……」
どうやら、さっきの攻撃で怯えてしまっているようだ。アカネは、再び迫りくるカチョーを食い止めたシロウさんを見ても、前線に加わろうとしなかった。それほどまでに、カチョーの強さは凄まじいのだ。
「シロウさん、せめて倒すとかにしましょうよ」
やあ。俺は狙撃手のキータ。退魔の宝具の一つである『ホーリーボゥ』の適合者で、王様の勅命を受けた、魔王を撃ち滅ぼさん為に旅をする金髪と涙ぼくろがトレードマークの冒険者だ。
そして、「カチョーをブチのめす」だなんて物騒な暴言を吐いた、くすんだ白い短髪と顔に大きな火傷痕の、異常に迫力あるガタイのいい彼がシロウさん。俺と同じく王様から宝具を授かった、『ホーリーセイバー』の適合者で、俺の所属するパーティのリーダー。つまり、世界の命運を両肩に背負った勇者という事だ。
適合者とは、退魔の宝具を操る事の出来る才能の持ち主の事。因みに、この世界には何人かの適合者がいる為、俺達は先代の適合者が死んで、たまたま次に選ばれた戦士だったというワケ。
「クロウ、アカネ。お前らは大丈夫か?」
「私は、大丈夫です」
「……クロウ?」
「聞こえている。問題ない」
今呼ばれた彼ら、赤いポニーテールと赤い目のアカネは『ホーリーランス』を、少々長い黒髪の、中性的な顔をしたクロウは『ホーリーロッド』を操る適合者で、同じの旅の仲間だ。
二人の声を聞いたシロウさんは頷いて鞘から剣を抜くと、「手筈通りに」と呟いてから先陣を切って、ここらの地域を支配する悪のボスが待つ部屋へと乗り込む。部屋の最奥には、身長8mはあろうかという巨体を持つ怪物、『デビルカチョー』の姿があった。
カチョーは、不敵な笑みを浮かべながらゆっくりと立ち上がった。口は赤く、血のように濡れている。筋骨はシロウさんのそれを遥かに越えていて、更に異常に長い尾を持っていた。
「くっくっく。待っていたぞ、勇者シロウ。よくぞここまで来ることが……」
「キータ、目ぇ狙え」
「分かりました」
カチョーの口上が終わる前に、僕は言われた通り目を狙って矢を放った。
「ぬっ!貴様ら、噂に違わぬ外道だな!いいだろう、相手にとって不足なし!」
言いながら、自身の目に放たれた矢を弾いてシロウさんを迎え撃とうと身構えたところで、シロウさんはホーリーセイバーをカチョーの翼目掛けて思い切り投げつけた。すると、矢に気を取られていたせいか、不意打ちの刃は見事に突き刺さり、カチョーはよろりと身を崩す。更に、彼は弾かれて跳ね返ってきた矢を空中で掴むと、奴の足のつま先に思い切り突き刺して、体を駆け上がり翼からホーリーセイバーを引き抜いた。
「アカネ!スイッチ!」
「はいっ!」
呼ばれ、アカネはホーリーランスを構えながら突進。そして、シロウさんの指示通りに、デビルカチョーの土手っ腹へ槍撃を打ち込んだ。
しかし、カチョーも負けじと反撃し、尻尾を伸ばしてアカネを翻弄すると、手足を三度斬り裂く。瞬間、シロウさんはアカネを守るようにカチョーの前に立ちはだかり、尻尾を掴んで動きを止めた。
「下がれ、アカネ。キータ!上から援護できるか!?」
「任せてくださいッ!」
言われた通り、俺はカチョーの腕を貫くように矢を放ち、シロウさんに向いたヘイトを分散。意識がこっちへ向いた瞬間に、アカネはクロウの元まで下がっていった。
このパーティは、タンクのシロウさん、アタッカーのアカネ、サポーターの俺と、ヒーラーのクロウで構成されている。
基本的な戦術は、シロウさんが敵の攻撃を受け流し、俺とクロウのバフを受けたアカネが火力を出すといったスタイルだ。
本来であれば、俺かクロウがオーダーをするべきなんだろうけど、それだとどうにも連携が取れない。故に、どんな状況に陥っても最善を選ぶ事が出来るシロウさんが、器用に両役をこなしているのだ。
「クロウ!シロウさんにヒールかけろよ!」
「お前が指図するな!アカネがダメージを受けてるんだ!」
「そこでヒールすんならポーションとかあるだろ!」
「うるさい!俺のスキルの方が早いだろうが!」
俺たちが言い合っている間にも、シロウさんはカチョーの猛攻を一人で凌いでいる。それを見て焦った俺は、シロウさんの指示無しに動いて、彼を助けに行こうとしたが。
「キータ、落ち着け。クールになるんだ。お前は、後ろから敵が来ねえように見てなきゃならねえ」
「……っ!はいッ!」
あぁ言われてしまえば、俺はここを動くわけにはいかない。焦燥感を堪えて、言われた通り援護射撃のみを放ち、見張りを続ける。
「スキル、ホワイトミラージュ」
シロウさんが唱えた瞬間、カチョーの拳が彼を貫いた。
「なにっ!?」
しかし、手応えはない。何故なら、そこに残っていたのは彼の幻影だったからだ。
スキルとは、レベルを1から5まで振り分けられた、異能の力の事だ。その用途は多岐に渡り、直接的な攻撃や防御、今のシロウさんのようにトリッキーなものまで様々だ。因みに、ホワイトミラージュはレベル2の初歩的なスキルだ。
瞬間、逆サイドから現れたシロウさんは、カチョーの腕を一刀両断。返り血を浴びながら剣を引いて下がったシロウさんだったが、カチョーはすぐに体を再生して、怒涛のラッシュを彼に見舞った。あれは、流石にヤバ過ぎる!
「シロウさん!」
「うぐっ……!カチョーの奴、生きる事にしがみつくような能力持ちやがって」
「いや、そんな生々しい事言ってる場合じゃないですよ!」
「焦るなって。クロウ、手が空いたならこっちにヒールかけてくれ」
口調こそ穏やかだが、シロウさんは血塗れで息も絶え絶えだった。
「仕方ない。スキル、ヘヴケア」
ヘビケアは、レベル5の高等スキルだ。瞬間ヒールスキルはレベル1からフラ、フェザ、ライ、ウェル、ヘヴの順で回復量に違いがある。俺も覚えているけど、唱えられるのは精々ライ程度だ。(段階のあるスキルは、この階級が適応されている)
「サンキュー。アカネ、そろそろ行けるか?」
「は、はい。でも……」
どうやら、さっきの攻撃で怯えてしまっているようだ。アカネは、再び迫りくるカチョーを食い止めたシロウさんを見ても、前線に加わろうとしなかった。それほどまでに、カチョーの強さは凄まじいのだ。
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