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番外編 お忍びデート④
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ベッドに沈んだあとも、すぐに動くことはなかった。
呼吸だけが近くにあって、互いの熱が、少しずつ落ち着いていく。
ミレイアは天井を見たまま、ふっと息を吐いた。
「……すごい劇でしたね」
声は、まだ少し掠れている。
アシュレイは、しばらくしてから答えた。
「ああ。あの街向けに、よく作られていた」
淡々とした調子だったが、視線はミレイアから離れない。
「……嫌だったか」
問いは短い。
ミレイアは、首を横に振った。
「嫌、というより……」
言葉を探す間に、アシュレイの手が伸びる。
胸元に、そっと触れるだけの距離。
そのひらの熱に、ミレイアははっきりと気づいた。
「……驚きました」
正直な答えだった。
「自分が……ああいうふうに、見られているんだって」
指先が、わずかに強くなる。
「……ミレイアは」
アシュレイの声が、少しだけ低くなる。
「劇の、あの聖女のように……されたかったか」
逃げ場のない問いだった。
ミレイアは、視線を逸らさなかった。
胸に触れた手の温度を、そのまま受け止めながら、息を吸う。
「……あなたなら」
それだけ言った。
次の瞬間、唇が重なった。
今までよりも深く、迷いのないキス。
考える余地を与えないように、息ごと奪われる。
「……っ……」
声が漏れたのを、自分で自覚する前に、体勢が変わる。
影が落ちる。
身体の上に、確かな重み。
逃げようとしたわけではない。
それでも、自然と腕がシーツに沈み、身動きが取れなくなる。
額が触れ合うほどの距離で、アシュレイの視線が落ちてくる。
赤い瞳に、先ほど劇の中で見たものと、よく似た熱が宿っていた。
だが、そこにあるのは、奪う衝動ではない。
確かめるように、選ぶように、ゆっくりと近づいてくる気配。
ミレイアは、そっと目を閉じた。
その夜が、長くなることを、もう知っていた。
言葉は、必要なかった。
呼吸だけが近くにあって、互いの熱が、少しずつ落ち着いていく。
ミレイアは天井を見たまま、ふっと息を吐いた。
「……すごい劇でしたね」
声は、まだ少し掠れている。
アシュレイは、しばらくしてから答えた。
「ああ。あの街向けに、よく作られていた」
淡々とした調子だったが、視線はミレイアから離れない。
「……嫌だったか」
問いは短い。
ミレイアは、首を横に振った。
「嫌、というより……」
言葉を探す間に、アシュレイの手が伸びる。
胸元に、そっと触れるだけの距離。
そのひらの熱に、ミレイアははっきりと気づいた。
「……驚きました」
正直な答えだった。
「自分が……ああいうふうに、見られているんだって」
指先が、わずかに強くなる。
「……ミレイアは」
アシュレイの声が、少しだけ低くなる。
「劇の、あの聖女のように……されたかったか」
逃げ場のない問いだった。
ミレイアは、視線を逸らさなかった。
胸に触れた手の温度を、そのまま受け止めながら、息を吸う。
「……あなたなら」
それだけ言った。
次の瞬間、唇が重なった。
今までよりも深く、迷いのないキス。
考える余地を与えないように、息ごと奪われる。
「……っ……」
声が漏れたのを、自分で自覚する前に、体勢が変わる。
影が落ちる。
身体の上に、確かな重み。
逃げようとしたわけではない。
それでも、自然と腕がシーツに沈み、身動きが取れなくなる。
額が触れ合うほどの距離で、アシュレイの視線が落ちてくる。
赤い瞳に、先ほど劇の中で見たものと、よく似た熱が宿っていた。
だが、そこにあるのは、奪う衝動ではない。
確かめるように、選ぶように、ゆっくりと近づいてくる気配。
ミレイアは、そっと目を閉じた。
その夜が、長くなることを、もう知っていた。
言葉は、必要なかった。
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