天下無双の剣聖王姫 ~辺境の村に追放された王女は剣聖と成る~

作間 直矢 

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シルバ・アリウム、剣聖と成る

十八話

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 「な、なななッ……!?シル、バ王女だとぉッッッ!?」

 「控えなさい下郎、もはや弁明の余地などありません、
  貴方は正しき事を成そうとした人間を一方的に襲い、
  あまつさせ証拠隠滅のために殺害しようとした……
  どちらが悪でどちらが正義か、問うまでも無い」

 「う、嘘だッ!?シルバ王女は確かに護送途中に死んだと聞いているッ!?
  お、お前は王女の姿を模した偽物だぁッ!?早く殺せぇッ!!」

 「―――ヒース」

 「御意」


 黒い死神は主の言葉を待ち侘び、迅速に行動する。

 鎮圧は一瞬、いかに一級魔術師であろうと影から現れる死神の刃は止められず、魔術媒介である杖を叩き切る。

 更に一撃、打撃を打ち込み三人の魔法使いを無力化させる。


 「い、一体なんなんだッ!?貴様らはいったいッ……!?」

 「……黒き刃、その姿を現しなさい」


 刹那。

 シルバの影から這い出る五つの人影。
 それは彼女を守るように立ち並ぶとその姿を顕現させて主たるシルバに跪く。


 『我ら黒き刃、ここに』


 通常であれば禍々しい彼らは、シルバが指し示すその輝きによって血生臭さを脱ぎ払っていた。
 アリウム騎士団の暗部、そのアサシン集団は過去の姿を脱ぎ去ってここに存在した。


 「シルバ・アリウムは宣言しますッ!!
  ここジニア村を拠点とし、このアリウム国を導くとッ……
  ですので、どうかッ……どうか民の皆様ッ!!事情は必ずお話致します、
  至らぬ点は多々ありますが、村の力を、皆様の力をお貸しくださいッ…」

 「偽物風情がぁ……べらべらと―――」


 誠実なその姿勢、そして溢れる気品と厳格なその雰囲気。
 そんな彼女を尚偽物と呼び、都合の悪い話を遮った時、民は声を上げる。


 『シルバ王女様ぁぁぁ!!!!ご無事でなによりですぞーーー!!!』

 『俺達はシルバ王女様に、一生ついてくぞッ!!』

 『……我々はシルバ王女に剣を向けていたのか、なんてことだ……』


 響く声は村の人々と、武装した兵士たちの声。
 彼女の宣言は聴いた者全ての心に伝わり、その存在を疑いようも無いものとした。


 「―――フタバ伯爵、貴方の身柄を確保します」

 「バカな事を言うな小娘ッ!?お前に何の権限があってそんな事をッ……
  この我を……アリウム騎士団であるこの我をッ……!?」

 「国に仕える身として、貴方の蛮行は許せません、
  よってシルバ・アリウムの名のもとに拘束します」

 「兵士共ッッ!?何をしとるッ……この小娘を、殺せッ!!殺せぇぇぇ!?」


 もはやフタバの命に従う兵などおらず、兵は剣を下げて俯くだけ。


 「えぇいッ!!役立たず共がぁぁッ!!」


 乱心したフタバは馬を駆り出し抜刀する。
 猛進する彼はシルバ目掛けて剣を振りかざす、それが無謀とも分からずに。


 「―――っはッ!!」

 「………ぇ?」


 銀の王女は確かに無手だった。
 武器を振るう事も叶わず、一方的に斬られるはずである。

 そう、フタバは決めつけていた。


 ―――ドガシャッッ!!!!


 しかし、一方的にやられたのはフタバ伯爵。
 突進してきたその一瞬、体術を駆使して彼の雑な剣戟を捌くと馬上から吹き飛ばして甲冑ごと地に叩き落す。


 「剣聖と呼ばれた父を持つ事の意味、その身に刻みましたか」

 「あ、が……がが……」


 痛みに、屈辱に、そして剣聖と呼ばれたその武人の力を垣間見て悶絶するフタバは、その恐ろしさに言葉を失う。


 「これで、一件は落着ですね」


 多少のイレギュラーはあったものの、ジニア村が抱える問題はこれで解決に向かうだろう、それにヒースさんが命令を破って表舞台に出たことも、結果的にはプラスに働くはず。

 黒き刃の持つ効力、シルバ・アリウムの名が持つ権利、それらを駆使すれば今後の帝都へのアクションも取り易い。

 ―――最低限の準備は整った、ここからが私の第一歩。

 失った王女としての権威、婚約破棄による立場の喪失、騎士団による謀殺未遂。
 こんなものでは私は止まらない、止まれる訳が無い。


 だって私は剣聖の娘、シルバ・アリウムなのだから。
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