天下無双の剣聖王姫 ~辺境の村に追放された王女は剣聖と成る~

作間 直矢 

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シルバ・アリウム、剣聖と成る

二十五話

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 少しだけ穏やかな日々を過ごし、シュバルツ領の城へ赴く為の準備を進めること一週間。
 
 着々と段取りが組まれ、事前の予定通りシュバルツ侯爵との秘密裏の会合が執り行われようとしていた。


 「―――さて、着きましたね、シュバルツ様のお城に」

 「道中何事も無く良かったです、……しかし、街中でシルヴィア・ライトの名を
  隠すつもりも無く名乗っていた時は身が縮む思いでした、何故あのような事を?」


 それは城へ向かう途中、身分を隠して街へ立ち寄った際の出来事。
 一部の人間には知られているシルヴィア・ライトの名前を使って買い物や民宿を利用し、傍にいたヒースは驚愕していた。


 「理由はあります、その名前を知る人間はフタバ伯爵の騒動を知る関係者と、
  ジニア村に住む内部の者です、道中の襲撃を計画している者がいればそこで私の存在
  に気付き、一泊した際襲うはずでしょう?」

 「それは……そうかもしれませんが、わざわざ敵をおびき出す様な真似をしなくても
  良かったのでは?もっと安全なやり方があったはずです」

 「うーん……そう言われたらそうですけど、帝都を出てから気付いた事もあって、
  私って強くないですか?少しぐらい強引に立ち回ってもいいかなぁ……なんて」

 「―――正直にお答えすると、シルバ、貴方はかの剣聖と並び称される程にお強いです、
  ……しかし、その剣も心も未だ清く正しくある、それが私には危うく見えます」


 薄々と感じ取っていた自らの過ぎたる力、その在り方をきちんと話してくれた彼の姿は私にとって騎士そのものであった。


 「―――ヒース、手を、出してください」

 「て……ですか」


 二度目となる彼の手のぬくもり。

 差し伸べられた手を両手で握り、その存在を確かに感じる。


 「……シ、シルバッ…!?」

 「―――うん、ヒースはきちんと言ってくれた、嬉しいです」

 「それは……前に誓いましたから、それを違える訳にはいけません」

 「約束、守ってくださりありがとうございます、
  ……私はまだまだ子供で、未熟です、ヒースが素直に思った事を伝えて頂ければ、
  それを補っていけるかもしれません、今後もお願いしますねっ」

 「―――御心のままに」


 彼の忠心を改めて垣間見て、名残惜しく手を放して城を見据える。


 「では、参りましょうかヒース」


 今回の会合でシュバルツ侯爵に求める事は三つ。

 一、発展しつつあるジニア村の人員不足解消の件。
 二、ジニア村周辺の街道整備予算の補助。
 三、帝都帰還の際に私の立場を保持するため、擁立派に与する要求。

 これらをしっかりと話したうえで、シュバルツ侯爵には協力してもらう。
 そのために必要な事があれば、全身全霊を以てしてそれを成し遂げる。

 ヒースと初めて会ったその日に切り落とした後ろ髪、それも少しだけ伸びつつあり、軽く髪を整えて私は堂々と城門へ進むのであった―――。

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