天下無双の剣聖王姫 ~辺境の村に追放された王女は剣聖と成る~

作間 直矢 

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シルバ・アリウム、剣聖と成る

四十五話

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 会場が例年にない盛り上がりを見せ、着々と試合が行われてゆくなか、ぐったりと疲れ果てるシルバがそこにいた。


 「あー……しんど……」


 連日続いていた執務作業、そこに鞭打つように入る剣術大会。
 彼女の身体は心も体もくたびれては、ソファに腰かけ天を仰ぐ。


 「お疲れのようですね……シルバ、よろしかったらどうぞ、温まりますよ」


 部屋で項垂れるシルバに、ほどよい甘さのミルクティーを持ってくる。
 彼女は両手でそれを受け取り、有難く味わう。


 「―――ん、ありがとうヒース……流石にちょっと疲れました、
  型式めいた挨拶と、堅苦しい雰囲気ばかりで肩が凝ります……」

 「有力騎士と貴族たちの御挨拶周り……でしたね、お疲れ様でした……
  それで、どうでした?何か進展は御座いましたか?」

 「まぁ……初戦の印象が凄まじかったおかげで、中々良いお話はできました、
  ですが、一部の者は疑っておりましたね、この大会自体が仕組まれた八百長では?
  ……と、素直に事情を説明しましたが、疑いを晴らすのは時間が掛かりそうです」

 「難儀ですね……お疲れなのも理解できます」


 そう言ってヒースは紅茶を味わい、一息ついて話し出す。


 「現在、Bブロックは順調にシュバルツと私が勝ち進み、残った対戦相手の実力を
  考えても、彼とは準決勝で戦う事になりましょう」

 「そうですか……、存分に互いの武を奮ってくださいね、
  いずれかと剣を交えることを、楽しみに待っております」


 ヒースの実力は言わずもがな、シュバルツも相当に腕の立つ騎士である。

 彼が扱う剣は癖の無いオーソドックスな剣技、しかし、魔法を交えた戦い方は非常に強力な戦術であり、王道的な強さを誇っていた。

 その中でも特に、シュバルツを白騎士たらしめる物が光魔法。

 近、中距離での戦闘を得意とする光魔法で牽制しつつ、要所での隙の無い剣戟。
 搦め手を得意とするヒースとは対照的な戦い方であるのが、尚も二人の関係性を示していた。


 「そういえば……シルバのAブロックで一人、気になる剣士がいましたね」

 「あら?そうなのですか、試合中は相手に集中してしまいますし、
  終わったら終わったで、関係者の皆様への御挨拶周りで全然気づきませんでした…」

 「御多忙な身なのですから無理もありません、こういった情報はわたくしに
  お任せください、それより……その剣士ですが、隣国バーベナから訪れた招待枠の
  騎士として参加しておりまが、どうにも、その様相と戦い方が妙なのです」

 「妙……とは?」

 「バーベナ国は魔法大国とも呼ばれる程、戦術魔法師が優秀かつ最先端の魔法を駆使
  します、しかし……その剣士は一切魔法を使用せず、大剣を使った近接戦闘を中心
  とします、極めつけは気取った仮面……正体が掴めません」


 謎の仮面姿の大剣使い。

 そんな奇抜な姿をした情報は一切持ち合わせておらず、どうにも気になる。

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