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シルバ・アリウム、剣聖と成る
激闘の果てに 2
しおりを挟む「させるか」
魔法で構築された弓は、高純度の魔力を伴い強烈な威力で放たれた。
―――ズガガガガッッ!!!!
回避先を読まれ、矢は地面を抉り取るように着弾して破裂する。
あまりにも過激な威力に、会場は地響きを振るわせて砂埃を舞い上がらせた。
『で……でたぁぁぁぁッッ!!!!シュバルツ様の必殺の魔法ッッ!?
“光来の弓撃”が炸裂したぁぁぁッ!!!帝都の死神もこれで終わりかぁぁぁ!?』
息を呑み、戦いの行方を待つ観客は、徐々に晴れてゆく視界にかの死神を垣間見る。
「―――うおぉぉッッ!!!!」
「っつ……あれを、凌ぎきるかッ……!!」
霞んだ視界を斬り払い、その煙から現れるはヒース。
彼は矢が当たる直前、右斜めに位置する光柱を得意の暗器で破壊した。
その結果、回避に使用できる影を発生させ、爆発の間合いから離脱してシュバルツに再度の近接を仕掛ける。
「その愚直さ、相変わらずだなッッ!!!ヒースッッ!!!」
「貴様の頭の堅さも変わらないだろッッ!!シュバルツッ!!」
半ば意地にも似た感情で二度目の剣戟を魅せ、二人の戦いは加速していく。
依然として動きは制限されつつも、後方に転移出来るほどの影が発生したためギリギリまで距離を詰めて、一瞬にして切り下がれるヒース。
禁術とされる転移魔法に翻弄されるも、持ち前の剣術で受け流す白騎士。
しかし、その状況は先程と違い、明らかにシュバルツは苦戦していた。
(何故……何故、勝てない……、こいつのアサシンとして経験より、
私の騎士としての経験が劣るなど……そんな事などあり得ないッ……!!)
焦りと劣等感。
複雑に絡む感情がシュバルツを奮い立たせ、迫りくる黒騎士に相対する。
―――ィィンッ……!!ギィン…!!
刀身が打ち合う度に鈍い鉄の音が響く。
そして、その合間に答えの無い問答も繰り広げられる。
「いい加減諦めろッ!!ヒースッ!!お前では私に勝てないッ!!
己の間違いを認めず、歪んだ生き方をしてきたお前では……絶対にッ!!」
「間違っているかどうか、それを決める為に今決着を付けているッ……、
貴様の正しさを認めさせたいなら、力でそれを見せ付けてみろッ!!!」
「―――言われなくても、そのつもりだッ!!!」
近接戦闘の軍配がヒースに上がりつつある中、それを嫌ったシュバルツは光壁を展開させて一定の距離を取る。
だが、その行動は一手遅れる行動。
自ら引き下がった代償は、展開していた光柱を破壊するための隙を作らせてしまう。
「もらった……!!」
残っていた三か所の柱を、影による転移で接近し斬り壊す。
一瞬にして打ち破られた影対策は、ヒースの鬼神迫る勢いの剣戟で打開して状況は一変し、対戦は仕切り直された。
『なんということだぁぁ!?あのシュバルツ様の魔法を突破して、
死神は再び影による自由を手に入れたッ、このまま押し切られてしまうのか!?』
光壁を防御で使用し、容易に攻められない布陣ではあるが二人は膠着して動かない。
会場の盛り上がりとは対照的に、彼らの感情は酷く冷たくなっていき、戦いは佳境に差し掛かる。
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