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シルバ・アリウム、剣聖と成る
激闘の果てに 4
しおりを挟む『……ととっ!?シルバ王女様の激励に反応したのかっ……!?
ヒースがよろめきながらも、立ち上がったぁぁぁぁっ!!!』
壊れかけた人形のように、黒衣を纏った黒騎士の瞳に意思が宿る。
「―――シュバルツ……お前は、俺は悪くないと庇ってくれたな、
……昔から優しかった君は、妹の死すら誰のせいでもないと、そうずっと、
いや、今でも俺に言い聞かせてくれる、……それは、感謝しているよ」
「……なら―――」
「だがッ!!それでもっ……!!俺の恐怖心が招いた結果を、
認める訳にはいかないッ!!そしてっ……今の俺も否定させないッ!!」
最後に残る魔力を振り絞り、その黒騎士はかの死神を再誕させる。
黒き魔力はヒースを囲み、魔術文字がかつてない量で溢れかえって黒布を翻らせ、その様相を変えてゆく。
「―――ヒース、そうか……それがお前の答えか、死神に堕ちてまで守りたいのだな」
過去、帝都に死神が現れた。
それは、とある犯罪集団を壊滅するために、王が存命のアリウム騎士団が黒き刃を使役した際の出来事。
家名を継いだばかりのシュバルツは、アリウムの騎士として組織の壊滅に尽力し、また、黒き刃への助力も惜しまなかった。
だが、あまりにも凄惨な現場を作り出したその戦いは、見た者を恐怖に陥れ、その二つ名を授けて忌み嫌った。
「違う……この姿はかつての死神とは違う、我が主……シルバ王女のために、
俺は、禁忌とされた力さえ、正しく扱って見せるッッ!!!」
壊滅した組織は、死神の両親を奪い、あまつさえたった一人の妹すら奪ったのだ。
―――許せるわけ、ない。
むごたらしく、慈悲も無く、許しの言葉すら聞き入れなかった彼は、一人残らず殺した。
確かに、それは邪悪で歪、決して正しさなんて無い。
しかし、白騎士の目の前にいるヒースは、あの死神とはかけ離れ、あまりにも真っ直ぐな存在であった。
「黒鎧布……その姿を見たのは随分と久しぶりだ、その力を使うかッ!?」
「出し惜しみは無しだッッ!!行くぞッ!!シュバルツ!!!」
―――黒鎧布。
呪詛に似た魔術文字で綴られた黒布を全身に纏い、あらゆる能力を向上させると共に、装備者の寿命すら奪い取る禁術の一つ。
それを惜しげも無く発揮し、天蓋の鎧と真っ向からぶつかる。
「うおぉぉぉぉぉッッッ!!!」
「はぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」
人外の域を超えた戦闘は、常人では到底目で追えない。
黒と白の風が、絡み合って弾け飛ぶ、そんな景色にしか見えない程の速度で剣戟が繰り広げられ、二人の戦いは激化してゆく。
『わ、わわわわ、わわぁぁぁぁぁっっ!!!????
なんだ、これはッ……!?もはや小規模の爆発が連続して起こっている様にしか…
って……!?会場の防御結界が悲鳴を上げてるッ!?これは本当にヤバいッ!?』
観客を護るために張られた結界が、戦いの余波によって軋み、綻ぶ。
一級魔法を重ねて使用した防御術ですら、耐えきることが怪しくなり実況のクロが試合を止めようと迷っていた。
が、史上稀に見る激戦に観客はおろか、クロ本人も見惚れるようにその旋風を眺めてしまう、神話の再誕を拝むように。
ガギィィィッッ……!!!
終わりは突然、黒布を焼き尽くして後退するヒースが視認されて訪れる。
力の代償は術者の寿命、その呪いに侵されて血の涙を零して動きを止めた。
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