天下無双の剣聖王姫 ~辺境の村に追放された王女は剣聖と成る~

作間 直矢 

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シルバ・アリウム、剣聖と成る

五十六話

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 「……あら、これはこれは……」


 この部屋を扉にノックして入れる人間は限られる。
 直前までの厳重な警備を通過し、身元確認の連絡が入らない程の身分。

 となれば、その人物は話題の人。


 「―――お久しぶりで御座います……シルバ殿下……」


 とてもばつの悪そうな顔で、大柄で髭を蓄えた武人のゴッツは恐れながら挨拶をした。


 「はい、お久しぶりですねゴッツさん、義父が亡くなってすぐ行われた
  会議以来ですかね?お元気にしておりましたか?」

 「その説は……はい…大変ご迷惑をお掛けしました……」

 「―――貴様っ……よくもぬけぬけとッ…!!」

 「ヒース、私は大丈夫だから、けど、ありがとう」


 今にも殴り掛かりそうな騎士様をなだめて、私は縮こまっているおじ様に優しく接する。


 「それで、本題はなんでしょう?今更隠し事は無し、でお願いします」

 「それは……その……シルバ殿下はどこまでこちらの内情を知って……」


 あまりにも遠回し、かつ、こちらの手の内を探るような物言いに、黒騎士は激怒して身を乗り出してしまった。


 「全部知っているに決まっているだろッ!!貴様は何を言っているッ!?
  お前らが仕組み、私に……“黒き刃”にシルバ王女暗殺を依頼したのは誰だッ!!
  シバ公爵に唆されて動いた貴様の責任でもあるだろうッ!!」

 「あれは……シバ殿が勝手に差し向けた事で私は知らなかったッ!?
  本当だっ!?信じてくれッ……儂はシバ殿に助力を頼まれただけだッ!!」

 「それが事実だとしてもッッ!!!貴様は―――!!!」


 ヒースは怒っている。

 それはゴッツに対してではなく、自分自身に向けて放った感情。
 今でこそ忠を尽くして私を慕ってくれるが、ヒースとの出会いは暗殺。

 王女に差し向けた刃は、決して自身の意思では無かっただろう。
 だがそれでも、その事実が彼を後悔させ、激怒させる。


 「ゴッツさん……まずは貴方が知っている事を教えてください、
  あなた方の謀略はこちらでも察知し、それを踏まえて動いております、
  ヒースが厳しい言葉を投げかける意味、おわかりですよね?」

 「それは……その…、本当に申し訳ないと思っております……」

 「謝るよりも、先に状況の説明を」

 「は、はいっ……!しかし、先程申し上げた通り私はシバ公爵の後ろ盾をお願いされ、
  彼の騎士団での立場をより強固にするため動いておりました……
  ですので、シルバ殿下の訃報を聞いた時は儂も驚き、シバ公爵に確認をした程です」

 「彼は、その時なんと仰っていました?」

 「―――不慮の事故に遭ったのだと、そう説明したのみでございます…」


 目線は泳ぎ、たどたどしく弁明する姿に違和感を覚えつつも話を聞く。
 
 何かを隠している様子は無いが、後ろめたさと自身の立場を案じる彼に、アリウム騎士団随一の武闘派騎士と呼ばれる威厳は無かった。

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