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剣を司る者
三話
しおりを挟む「いいか、お前に加護を授けたのはアタシの暇つぶしだ、
その暇つぶし風情が手間を取らせるな、なぁ?小娘」
「―――それ、でも……」
「このまま精神を貰うぞ、なに、少しだけ眠るだけだ」
「う、あぁ……」
空が崩壊し、世界が終わり始める。
それはシルバの精神が汚染され、同時に徐々に意識を乗っ取られる事実。
必死に抵抗しようとも、抑え込まれて足が浮く。
絶望にも似た力の差に、シルバは、目の前が暗く輝いた。
―――ひらりと舞った、黒鎧布によって。
「死神の遺物、だと……なぜここに……」
場違いな黒布は風に乗って、女神の注意を引きつける。
必殺の一刀によって裂かれた世界の狭間。
そのひび割れた青空から現れたヒースの暖かな呪い。
「―――わふっ……!!」
間抜けな声が、響いてしまう。
絶体絶命の危機に、シルバの顔に覆い被さった黒布。
思わず気の抜けた声を出して、彼女は全てを察した。
(あぁ……どこにいても、私を救ってくれるのですね、貴方は)
きっとこれは必然。
偶然こんな状況が生まれる訳もなく、この好機を逃してはいけない。
すると、日差しが隠れ、明るい闇が生まれ始めた。
月明かりがこの世界を再構築し、銀の月光が差し掛かっていたのだ。
「……なんだ、いったい何が起きている」
不穏な変化に、女神は掴んだ手に力を加える。
首を捻じ切れる力は、一瞬にして彼女を死に至らしめた。
―――ヅガァンッッ!!!!
だが、轟いた音は魔力の爆発。
黒き呪詛が渦巻いて、二人の距離は引き離される。
神すら警戒するその力、神話の時代に暗躍した死神を宿す遺物。
それを使い、影を操る能力を得たのは銀の剣聖。
「本当に……煩わしいな」
「―――勝負を、つけましょうか」
聖女の素質を兼ね備えたシルバに、呪詛による影響は受けない。
その真価のみを使い、彼女は黒布を首に巻いて銀月を構え直す。
―――暗月で照らされた刀身は、黒銀に染まって鈍く輝いていた。
元々の魔力が銀色である彼女のそれが、死を司る神によって変色したのだ。
それは決して、シルバを穢す色では無く、影と光を与える希望の色。
故に、今の剣聖は死神でもあり、黒銀の姫でもあった―――
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