100 / 102
エンディング
2
しおりを挟む「ああ、今日の式典ですが、新生アリウム騎士団の発表……
私に騎士団長を任命してくださり大変恐縮です、
ご期待に応えられる様に、毎日精進致します」
「ふふっ……お願いしますね、きっと、貴方達なら高め合うでしょう」
「―――まさか、アイツがここまで出世するなんて誰も思わなかったでしょうね」
「そうですか?兵士の方々や騎士団でも実力は知れ渡っていたはず、
加えて、剣術大会で得た知名度もあり、任命の際に反対した人も少数でした」
「それでも、私はアイツが任命される直前まで現実と思わないでしょうね」
悪戯に小さく笑い、騎士が無邪気に語る。
すると、彼は清々しい顔で席を立ち、改めて頭を下げて感謝する。
「シルバ王女様、本当にこれまでありがとうございます、
今日の式典もきっと、大成を収めて終わる事でしょう」
「そうですね、そうなるように頑張りますっ」
「では、先に失礼致します、また式典での会場でお会いしましょう」
「はいっ、シュバルツさんまた後で」
終始、紳士然な振る舞いで立ち去る白騎士。
ひらひらと手を振って見送るシルバは、彼の変化を嬉しく思う。
と同時に、さっきまで締め付けていた緊張も和らいでいた。
「ミオ、シュバルツさんは本当にいい人ですね」
「そうですね、人柄の良さが滲み出ていました」
「―――見惚れてましたか?」
「ッッな!?ななな、なにを言ってるんですかシルバ様ッ!?
彼は既婚者でッ!!新生アリウム騎士団の団長さんなんですよぉッ!!!」
「……慌て過ぎですよ……ミオ」
まんざらでもなさそうなミオをからかい、シルバも準備を始めた。
「さぁ、私達も行きましょうか」
「あ、は、っはい!!!」
銀の衣装を纏い、シルバは王女の顔をする。
そして、ミオもまたその宝刀を両手に抱え、彼女に渡した。
「シルバ王女様、どうぞ」
「ありがとうミオ、今日の式典……絶対成功させようね」
「―――っもちろんです!!!」
腰に銀月を下げ、剣聖王姫が歩みを進める。
この覇道を止めない、止めさせない。
身に宿るこの加護に、そしてシルバを救った多くの人に懸けて。
護衛を持たず、彼女は王城を歩く。
ただ一人、友人として接するミオだけが隣に並ぶだけ。
「これは王女様ッ!!ご機嫌麗しゅうございます、
今日の任命式、期待しておりますぞ!!」
「シルバ王女様、新たな騎士団の設立おめでとうございます、
これからもアリウムの未来を導いてくださいませ」
会場までの道中、様々な騎士や貴族に声を掛けられ祝福される。
持ち前の愛想の良さと、美しい容姿を駆使して城内の信頼を掴んでいた。
「―――相変わらず猫被りな姫ですね…」
「え?何か言いましたミオ?」
「いえ、なにも」
「そうですか……もう少しでジニア街の商業都市化計画
を依頼するところでしたのに、仕事を振れなくて残念です……」
「……そう無邪気に仕事を押し付ける性格、いつか天罰が下りますよ」
「―――その天罰、もしかしたらもう起こったかもしれません」
会場に近付くと、広いホールに目立った仮面の男性がいた。
彼は場に合った正装でグラスを片手に、冗談めいた仮面の奥でシルバを捉える。
「あれって……噂の王子様ですか?」
「もしかしなくても王子ですね、あぁ、頭が痛くなります」
王女の気苦労を吹き飛ばす勢いで、バーベナの第二王子は彼女に駆け寄った。
「っよ!!シルバ王女!!今日は招待してくれてありがとうなっ!!」
「レッド王子の場合、正体を隠して参加するじゃないですか、
なら、最初からこちらで招待しておけば余計な混乱も無くなります」
「それもそうだな、こんな感じで変装でもして来てたかもな」
少年のような笑いで仮面を外し、その赤い瞳を晒す。
目立った髪色と瞳が、場の視線を集めてレッドとシルバを映した。
0
あなたにおすすめの小説
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました
黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった!
これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした
新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。
「ヨシュア……てめえはクビだ」
ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。
「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。
危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。
一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。
彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる