賊を狩り続ける冒険者~近代技術で魔法を凌駕する~

作間 直矢 

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1話 賊狩りと少女

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 「―――サクラ」

 「ん?どしたアルバート」

 「長話が過ぎる、そろそろ用件を話せ」

 「あーはいはい、仕事の話ね」


 気だるげなサクラは棚から資料を取り出し、机に広げて見せる。
 少しだけ話し足りない気持ちを抑えつつ、彼女は本題を切り出した。


 「で、今回呼んだのはアルバートへの説教もあるけど用件はこれ、
  数年にわたって対応を追われていた、大規模組織と化した山賊について」

 「―――山賊か」


 鎧の彼は声色が重くなる。

 明らかな敵意と殺意を持って、賊狩りは思考を始めた。


 「組織化した山賊というと、潜伏場所の分からなかったハイド山付近の奴らか」

 「そ、自然豊かな山である事に加えて、山中の道の険しさによって
  中々居所が掴めなかったけどついに突き止めた」

 「どこだ、教えろ」

 「待って、今回の依頼は直接の依頼ってわけじゃない、
  流石の貴方とはいえ、この山賊組織相手に一人で……いいえ、
  今は二人かもしれないけど無謀な依頼になってしまう、
  ここは作戦の立案と現状の問題を一緒に考えて欲しいだけ」

 「―――それは内容次第だ」

 「それでも、危険な戦いになってほしくないから言ってる、
  ギルド本部も優秀な人材を集めて討伐部隊を編成する方針だし、
  今回のクエストは賊狩りと呼ばれる貴方の力に頼る予定はないの」

 「まさか、そいつらと真っ向から戦うつもりか」

 「そうはしたくないけど、立地的にそうならざるを得ない場所なのよ」


 真剣な眼差しで指差した地図。

 そこはハイド山の詳細な地理が描かれ、山賊達の潜伏場所であった。
 周りは山々に囲まれ、険しい山道が拠点への奇襲を困難にする。

 普通に考えれば難攻不落の拠点であるが、騎士は懐疑的に質問した。


 「敵の規模は」

 「細かな人数は過去の被害経歴からしか予想は出来ない、
  けど、山賊の拠点は村ぐらいの大きさで形成されていると情報が入っている、
  それだけで充分な脅威だし、今回のクエストが危険なのが伝わるでしょ?」


 黙って話を聞くアルバートは、地図を見つめながら片手に資料を持つ。

 それを交互に眺め、少し考え込みながらメモを取っていく。


 「どう?賊退治のプロから見て、どの程度の戦力が必要?」

 「どの程度、か」

 「だから、思いつく戦術や人材を言ってくれればこちらで用意―――」


 不意に、言葉を遮る青の騎士。
 その返事は、揺るぎない確信と共に断言された。


 「必要ない」

 「……は?」

 「今回の山賊討伐、俺とアリウムだけで充分だ」

 「わ、わたしと、アルバートさんだけ……」


 前回の盗賊に次ぎ、戦いが始まる。

 いや、既に賊を狩る男の中ではこの戦いは終わっていた。
 圧倒的に数の優位で劣っていても、負ける要素など無いと確信していたから。

 慢心でも、油断でもない。

 得られた情報とこれまでの経験。
 全てを以て賊を殺し、アルバートは戦いを始めようとしていた―――。

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