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2話 山賊討伐の代償
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しおりを挟む「風速、南西に1m……よし、弾道修正完了、発射準備」
「……」
「―――アリウム、少し離れておけ……衝撃で飛ばされるぞ」
「いいえ、ここで……見てます」
「……そうか」
騎士は姿勢を整え、構える。
その動きに迷いなど無く、作業的に感じた。
「すまない」
小さく、誰に対しての言葉とも取れぬ謝罪と共に、引き金が沈む。
―――――ドォォォン!!!!!
響く重低音、身体を震わせる衝撃。
聞いた事のない音は、全身を貫通する勢いで突き抜けた。
「っっっ!!!」
地に伏せ、必死に足腰に力を入れてようやく態勢を維持出来た。
耳を塞いでいたのにも関わらず、鳴りやまない耳鳴りが視界を白くさせる。
「なに、が……」
現状を理解しようと、閉じてしまった瞼を開く。
と同時に、もう一つの爆発音が轟いた。
―――それはまるで、大きな星であった。
青白く光る爆風、一方的すぎる破壊。
戦いにすらならないと断言した彼の言葉が現実となった。
少しずつ、鮮明に見えてくる視界の先、山賊の村は半壊していた。
「アリウム、次弾を装填する」
「―――ぇ」
「砲弾を用意しろ、着弾予想が少しずれた」
容赦も、慈悲も無い事は知っていた。
だがここまで、これほど冷徹になれるものなのか。
もはや村は火の海であり、放っておいても助かる術は無い。
怒りを、憎しみを、全ての憎悪を込めた感情がそこにはあった―――
少し前の時間、ここは山賊が拠点とする中で一番大きな建物。
建物内では暇を持て余した盗賊が賭け事を行い、時間を潰して騒いでいた。
「かぁーー!!今日はツイてねぇ!!すっからかんだ!!」
「へっへっへ……もう一勝負といかねぇか?」
「ふざけんなっ!!これ以上やったら干からびちまうよ!!」
がさつな笑いで煙草を吸う一人の山賊。
ふと、彼らはギャンブル後の話題を切り替えた。
「あぁー、最近はうちの女にも飽きてきたし、
そろそろデカい仕事でもして何人か補充しねぇか?」
「おいおい、お前のとこ子供いるじゃねえか、そいつらどうすんだ?」
「子供なんか奴隷市に売るか雑用を押し付けとけばいいだろ、
あいつらは何人いても困る事はねぇ、なら女さらって数増やすのが利口だろ?」
「ふーむ、確かにここもデカくなって人手は足りねぇが……
だが、俺達にも良心ってのがあるだろ、流石にボスが許さねぇんじゃねえか?」
「お前な……そもそも俺達は人殺して物奪って生きてんだぞ?
なーに優等生ぶって躊躇ってんだよ、素直になれや!!」
背中をバシバシと叩かれ、狂った思想を共有する者たち。
その狂気に対して、一筋の閃光が制裁を加えようとしていた。
「……あん?なんだあの光?」
「え、どれだ―――」
瞬間、全てが吹き飛ぶ。
家も、人も、全てを消し飛ばして灰と化す。
灼熱の地獄を作って賊の拠点は壊滅的な被害を受け、残った賊は逃げ惑う。
「な、なにが起こった……」
「おいっ!!!敵か!?なんだ!?なんなんだよ!!!」
「生きてる奴はいるか!!避難しろっ……!!」
混乱して冷静な判断が下せない者。
現状が理解出来ず呆然と佇む者。
なんとか統制を取って、皆をまとめる者。
火に囲まれ絶望的な状況であった山賊。
が、それすらも賊狩りには生温い。
降り注ぐもう一つの閃光、それは人が集まる中心近くに着弾した。
―――ヅガァァァァンッッ!!!!!
第二射となる爆撃。
もはや山賊にとって理解不能な攻撃であり、何が起こったか分からない。
いや、理解をする前に命が消え去る。
火災は大きく、村を囲っていた塀が吹き飛び焼け落ちる。
逃げようにも火の海と化した道はそれを拒み、奇跡的に生きた僅かな賊を塞いだ。
地獄が、ここにはある―――
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