賊を狩り続ける冒険者~近代技術で魔法を凌駕する~

作間 直矢 

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3話 挑発と挑戦

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 「やめてくださいッ!!!これ以上の問いかけは無意味です!!」

 「ああん?嬢ちゃんは黙ってな、俺らはコイツをしめなきゃなんねぇんだよ」

 「だからって!!暴力に頼ってアルバートさんの考えを曲げようなんてっ!!」

 「……っぐ、アリウム、下がっていろ」

 「ですがッ……」

 「ここはギルドだ、っつ……騒ぎが大きくなれば止めも入る」


 よろめきながら立ち上がり、アリウムを庇う様に前に出る。

 彼は、確固たる意志を貫き冒険者たちを見据えた。


 「―――気は済んだか、殴りたいのなら最初からそう言え」

 「ほう、テメェはまだ俺達の話が理解できてないようだな?」

 「お前らは好きに魔物でも魔王でも倒せばいい、
  俺は人を傷つける人を殺し、冒険者として生きていく」

 「テメェッッ!!!」


 二撃目となる横振りの拳。

 兜を砕く勢いの打撃は、格闘家が極めた体術の真価。
 己の肉体に絶対の自信を持つ冒険者である大男は、殺す気概で殴る。


 バチィッ!!


 だが、響くのは打撃音ではなく鉄の歪む音。


 「なっ……テメェ!!」

 「どうした、格闘を生業にしているのだろう」


 騎士は大男の振りに反応し、両腕を交差する形で防御を取った。
 致命傷にはならず、手甲をへこませて攻撃をいなす。


 「調子にのんなよッ!!!次は殺すッ!」

 「おい、そろそろ止めとけ」


 格闘家である彼を止めたのは、後ろでこちらを眺めていた狡猾そうな男。

 彼は嘘くさい笑顔で大男をなだめ、この場を収拾しようとした。


 「まあまあ、周りを見ろよ?喧嘩を期待して集まり始めるバカ共がいる、
  オレはギルドからお叱りを受けるのはごめんだ、お前もだろ?」

 「……っチ、仕方ねぇな」

 「よし、物分かりが良くて助かるよ」


 長髪の詐欺師めいた笑顔の男は、騎士をみて一礼する。


 「すまなかったね、賊狩り……いや、死神とか貧村の英雄とか、
  君に合った二つ名で呼ぶべきかな?まあいいや……ね?」

 「なんですかっ……あなた方はアルバートさんに何の用があるんですかっ!」

 「いやいや、用なんてそんなっ……オレ達はただ賊狩りくんに釘を刺しにきただけ、
  実際、ソイツのやり方が正しいなんて言えないし、君もそれは理解しているだろう?」

 「それでも、全て間違ってはいません……」

 「ふぅん……まぁいいけど、大体君はなんでソイツと一緒にいるわけ?
  それこそさ、奴隷かなんかで女の子買ってパーティに加えた?
  お前みたいな狂人と一緒に冒険でる奴なんか早々いないと思うけど?」


 わざとらしい笑い声を漏らすと、周りの取り巻きが大声で笑う。

 嘲笑も、暴言も、数えきれない負の経験を積んできた騎士は毅然とする。
 その態度がつまらなく、長髪の男は悪態をついてこの場を離れようとした。


 「今日はこれぐらいにしとくけど、あまり好き勝手動かない事だね、
  オレ達冒険者は賊狩りを許さないし認めない、覚えておけよ凡愚が」


 ぞろぞろと数を引き連れギルド去る冒険者達。

 アリウムは悲しく、悔しい気持でいっぱいになり涙を浮かべて拳を固く握る。


 「アリウム」

 「―――はい」

 「何故、泣く」

 「……わかりません、わからない、けどっ……」


 何も出来なかった悲しみか、自身の力の無さを痛感した故か。

 命の恩人が酷い言われ様でも、それを否定して前に出ることが出来ず臆してしまった。
 恐怖と事実が入り混じり、決意が足りずに一歩が踏み出せない。

 少女は、その一歩が踏み出せた騎士を尊敬し、助けになりたいと改めて誓う。


 「私だけはっ……!!貴方の、アルバートの力になりますから!!」

 「……そうか」


 意図せぬ騒乱に巻き込まれ、二人は元々の仕事をこなす。

 僅かに、二人の心が少しだけ縮まって人間性を知っていくのであった―――

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