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3話 挑発と挑戦
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しおりを挟む「―――アリウム」
「はい?なんでしょう?」
「これからは俺以外の冒険者とクエストに行って良い、
お前自身の為にも、俺だけにその力を使う必要は無い」
その提案は彼にとって優しさであった。
可能性を潰さない為に、彼女が最大限才能を活かせる機会を設ける事が賊討伐への貢献に繋がると信じて。
「はぁ……アンタ、馬鹿ね」
「アルバートくん、そりゃないよ~」
だが、サクラとシキは呆れて顔をしかめる。
アリウムは悲しそうな顔で俯き、何も言えず黙ってしまう。
「何故だ、アリウムにとっても多くの経験が積めるはずだ」
「そうじゃないでしょ、この子がなんでアンタと一緒にいるかわかる?」
「……賊を、殺す為に」
「このバカッッ!!!!アンタほんとにバカッ!!!」
「ありゃ~アルバートくん、流石に酷いよそれは~」
「っ……あの、私は、大丈夫ですから、その……」
暗い表情で涙ぐむアリウム。
その様子を見て、鎧の騎士は何かを察して考える。
「俺は……」
一瞬だけ息を呑み、アリウムに向き直るアルバート。
相変わらず兜の奥にある表情は読めず、アリウムは委縮した。
「アリウム、お前はどうしたい」
「わたし、は……」
「お前が来てくれてから助かっている、これは紛れも無い事実だ」
「……」
「だが、お前の様な可能性溢れる若者を俺の目的に引きずるのは違う気がした」
「そんなっ!!私が選んだ道ですっ!!決して嫌だなんて思っていませんよッ!?」
「―――そうか」
「アンタ……口数が少ないにも程があるわよ……
アリウムさんにもっとかける言葉があるでしょう?」
「ふむ……」
「アタシからもちゃんとアルバートくんが引き留めてくれないと、
アリウムちゃんのご飯が食べれなくなりそうで嫌だにゃ~?」
二人から背中を押され、騎士は多少言葉に詰まりながら改めて告げる。
「アリウム、やはり何度考えてもお前がここに居続けるのは得策ではない、
―――それでも、俺は、個人的な意見にはなるがここに居て欲しいと思う」
「……っ!!」
「にゃは~…言えたねぇ」
「やれやれ、先が思いやられる…」
「お前の能力、判断、そして人を救うために努力を惜しまない姿勢、
その力を、これまで通りに俺に貸してくれないか」
「―――もちろんですっ!!よろしくお願いします!!」
前途多難なアリウムの昇給報告。
アルバートは三人から様々な感情を教えられ、少しずつ何かが変わりつつある。
感情が希薄である彼の成長も、アリウムと共に歩まれていく。
失った物を、取り戻してゆくように―――
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