賊を狩り続ける冒険者~近代技術で魔法を凌駕する~

作間 直矢 

文字の大きさ
48 / 68
3話 挑発と挑戦

激闘 2

しおりを挟む
 「仕留め損ねたかっ……」

 「終わりだぁッつ!!!」


 槍を横に薙ぐと、鎧を歪ませる威力で騎士は殴打される。

 吹き飛び、咄嗟に防御に回したクロスボウを破壊されて地に伏せると、容赦の無い追撃が眼前まで飛び込む。

 ガッ……

 足で鎧を抑え込まれ、槍の切っ先が喉元まで迫る。
 刃を素手で掴み抵抗する騎士に、傭兵は力を込めながら問う。


 「あぁ、噂以上の実力で楽しかったぜ賊狩り、最後の道具は予想外だった」

 「っつ……ぐ、が………」

 「―――それと、お前の鎧には見覚えがあったな……
  俺の魔法槍を無力化する程の魔法抵抗力が仕込まれた鎧、
  確か……魔法研究が盛んだったシルバ騎士団、だったか」


 アルバートの鎧には、魔法を打ち消す為の魔術刻印が仕込まれている。
 それは通常の魔術構成とは違い、特殊な手法で造られた刻印であった。

 故に、鎧の由来を知る者は限られているはず―――


 「貴様……いま、何といった」

 「ああ?お前の鎧の話だろうが、特徴的な青の意匠で思い出したぜ、
  魔法研究で有名だったシルバ騎士団の鎧だ、昔仕事で襲撃したから覚えている」

 「―――鎖槍、と言ったな蛇」

 「なんだ、命乞いか?」


 余裕そうに喋る傭兵はその手を緩める事は無く、喉元に突き付ける槍の力は増す。

 それを、騎士は気合いだけで留めて尋常ではない力で押し返してゆく。


 「なっ……テメェ、どこからこんな力を」

 「―――教えてやる、お前が襲った騎士団の兵器技術者、
  元奴隷の俺を雇ってくれた騎士団の為に、復讐を誓った男の力を」


 掴んでいた槍を突き放し、血だらけの手でポーチから薬を取り出す。


 「仕切り直しといこうぜ……お互いに手負いだ、
  ここからが楽しくなる時間だぁ!!!」

 「お前は、絶対に殺す」

 「いいねぇ、その殺意……テメェは妙に周りに気を遣って戦っていたからな、
  街中で戦う事に躊躇する事はねぇ癖に、ボルトの射線上を気遣って撃ちやがる、
  さっきの光も、街を巻き込まない様に上空に撃ったんだろう?なあ?」


 槍を構え、血を拭って狩り人の目で愉悦に浸る。
 戦いを楽しむ傭兵は、命の危機ですら強者との一戦を望む。

 それが、鎖槍の蛇と呼ばれる所以。

 間違いなく、彼は裏の世界で名を上げた反英雄であった。


 「殺す前に訊く、シルバ騎士団を壊滅させた賊は俺が壊滅させた、
  お前はそこに雇われた傭兵で、他にも雇われた奴がいたのか」

 「なんだぁ?そんな事が聞きたきゃ力づくで聞いてみろよ」

 「言われなくてもそうする、だが、今は時間が無い」


 復讐者の騎士は、取り出した薬を腕に刺し躊躇なく投与する。
 暗殺者を返り討ちにした力が、再度身体に駆け巡って瞳孔の色は蒼黒く変わった。


 「―――なんだ、それは」

 「ッ……言っただろう、復讐をする為の力だ」

 「おいおい……ソイツは裏で取引される違法魔力供給薬だろ、
  しかも普通の物じゃねぇ、副作用を度外視した強力なやつだ」

 「俺は魔法が使えない、こうでもしないと力が無いからな」

 「フフ、ハッハッ!!!ッハッハハハッ!!!
  お前、そうとう覚悟が決まってやがる!!
  こんな奴が冒険者やってるなんて信じらんねぇな、
  どっちかっていうとこっち側だよ、お前も」


 視界がぼやけ、酷い頭痛と身体の痛みを耐えて立つ。

 蒼黒の魔女が施した刻印が身体を蝕みながら、騎士は金槌に持ち変える。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

事務仕事しかできない無能?いいえ、空間支配スキルです。~勇者パーティの事務員として整理整頓していたら、いつの間にか銅像が立っていました~

水月
恋愛
「在庫整理しかできない無能は不要だ」 第一王子から、晩餐会の場で婚約破棄と国外追放を告げられた公爵令嬢ユズハ。 彼女のギフト【在庫整理】は、荷物の整理しかできないハズレスキルだと蔑まれていた。 だが、彼女は知っていた。 その真価は、指定空間内のあらゆる物質の最適化であることを。 追放先で出会った要領の悪い勇者パーティに対し、ユズハは事務的に、かつ冷徹に最適化を開始する。 「勇者様、右腕の筋肉配置を効率化しました」 「魔王の心臓、少し左にずらしておきましたね」 戦場を、兵站を、さらには魔王の命までをも在庫として処理し続けた結果、彼女はいつしか魔王討伐勇者パーティの一人として、威圧感溢れる銅像にまでなってしまう。 効率を愛する事務屋令嬢は、自分を捨てた国を不良債権として切り捨て、再出発する。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】 笑わない、かわいげがない、胸がないの『ないないない令嬢』、国外追放を言い渡される~私を追い出せば国が大変なことになりますよ?~

夏芽空
恋愛
「笑わない! かわいげがない! 胸がない! 三つのないを持つ、『ないないない令嬢』のオフェリア! 君との婚約を破棄する!」 婚約者の第一王子はオフェリアに婚約破棄を言い渡した上に、さらには国外追放するとまで言ってきた。 「私は構いませんが、この国が困ることになりますよ?」 オフェリアは国で唯一の特別な力を持っている。 傷を癒したり、作物を実らせたり、邪悪な心を持つ魔物から国を守ったりと、力には様々な種類がある。 オフェリアがいなくなれば、その力も消えてしまう。 国は困ることになるだろう。 だから親切心で言ってあげたのだが、第一王子は聞く耳を持たなかった。 警告を無視して、オフェリアを国外追放した。 国を出たオフェリアは、隣国で魔術師団の団長と出会う。 ひょんなことから彼の下で働くことになり、絆を深めていく。 一方、オフェリアを追放した国は、第一王子の愚かな選択のせいで崩壊していくのだった……。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

【完結】え?今になって婚約破棄ですか?私は構いませんが大丈夫ですか?

ゆうぎり
恋愛
カリンは幼少期からの婚約者オリバーに学園で婚約破棄されました。 卒業3か月前の事です。 卒業後すぐの結婚予定で、既に招待状も出し終わり済みです。 もちろんその場で受け入れましたよ。一向に構いません。 カリンはずっと婚約解消を願っていましたから。 でも大丈夫ですか? 婚約破棄したのなら既に他人。迷惑だけはかけないで下さいね。 ※ゆるゆる設定です ※軽い感じで読み流して下さい

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

処理中です...